ここは魔術系の対戦の試験場で、その付近の物陰だ。
 この場所にはダギル学園長とロイノビがいる。
 ハルリアの対戦が終わり二人は、未だにここで話をしていた。

 「……うむ、聖光の魔法だけであったならハルリオンと思っただろう。氷系の魔法を使っていた……思い過ごしだったようだ」

 「学園長、そもそもハルリオン様が女性になるなんてあり得ません」

 「そうだな。さて、いい加減……ここを離れるか」

 それを聞きロイノビは頷く。
 その後、二人はここを離れる。

 ★☆★☆★☆

 あれからハルリアは、しばらくみていたが面白くないと思い魔術系の対戦場を離れた。
 そして現在ハルリアは、他の試験がどんなことをしているのか気になりみて歩いている。

 (まぁ……こんなもんだろうな)

 そう思いながら召喚の試験場まできた。

 「キャアァァアアアー……」

 すると女性の悲鳴が聞こえてくる。
 その声を聞いたハルリアは駆け出した。

 「これは……失敗、したのか」

 そう言いハルリアは、目の前に居る召喚されたデビルゾンビを見据える。
 それは十メートルもある化け物だ。
 召喚した女性や周囲に居た者たちは、それをみて恐怖のあまり逃げた。
 教師がいても役に立たないらしい。

 (しゃあねぇなぁ……下手に慣れない召喚魔法なんか使うからこうなる。てか、教師は何をしているんだ。そもそも、これじゃ教師の付き添い……意味ねぇ)

 呆れながらハルリオンは、デビルゾンビに目掛けて両手を翳した。

 《聖光剣-聖なる光の剣よ 対象者を消滅させろ!!》

 そう詠唱するとデビルゾンビの真上に魔法陣が現れる。そこから光の剣が、無数に降下していた。
 それを確認するとハルリアは、両手を魔法陣へ向ける。

 「攻撃!!」

 ハルリアはそう言い左手を振り下ろした。すると無数の光の剣が、デビルゾンビへと凄い勢いで降下する。その光の剣は、デビルゾンビに刺さっていった。

 ――ギィヤァァアアアー……――

 奇妙な叫び声が辺りに響き渡る。それと同時に、デビルゾンビは消滅していった。
 それをみたその場にいる者たちは、魔法を放れただろう場所をみる。
 ハルリアはこの場に居るとまずいと思い、逃げようとした。

 「ハルリオン!?」

 その声を聞きハルリアは、立ちどまり冷や汗をかいている。そうその声の主は、ダギル学園長だ。
 因みにダギル学園長は一人である。ロイノビは用があり他の場所にいた。

 (今のをみられたのか? だとすれば……まずったな。この魔法は恐らく俺しか使えん……どう誤魔化す。いや……ここは、気づかないフリをして逃げた方がいいな)

 そう考えがまとまるとハルリアは歩き始める。

 「待てハルリア、お前と話したいことがある……逃げるなよ」

 そう言われ頷くとハルリアは、カチコチになりながらダギル学園長の方を向いた。