1、君のすべてが好きだった



✶今はまだ、なにもわからない

桜が散る中で、
君と手を繋いで果てしなく思える
漠然とした将来のことを話し続けている。

「夢がいつか消えたら、もう大人になったってことなのかな」
君がそんなこと言うから、

「今はただ、君と居さえすれば、それで十分なんだよ」
って返すと、君は穏やかに微笑んでくれた。




✶似合う。より、いいじゃん。って認めてほしい

今の嫌な雰囲気を変えたくて、
思い切って、髪、短くしてみたんだ。
だから、新しいイメージの自分も、
君の理想の中に入れてほしいな。



✶始まったばかりだけど

始まったばかりの、
まだ私の中で馴染まない季節は、
前の季節の楽しい思い出の所為で受け入れられていないよ。




✶ずっと夕日を眺めていたい

いつもの寂れた海辺で、
オレンジが深まる、丸が沈むのを君と眺めている。

「別に今さえ、生きれたらいいんだよね」
って君がぽつりとそう言ったから、
僕は君のことを全肯定することにした。



✶優しくて、傷つきやすいのは知っている

君の憂鬱な表情なんて見たくないよ。

君はただ、頑張りすぎて、
周りから、疎まれただけなんだ。

今は、君の優しさで受け取ったすべての毒を抜いてほしい。




✶存在する恋が世界中から溶けても

今、存在する恋が世界中から溶けたとしても、
君のことを忘れない自信があるよ。




✶たまにそういうところも見せてほしい

最弱のエゴイストの君が言うわがままは、
本当にレアだと思うから、
今日は気が済むまで、
君の自由にしてほしい。



✶君を待って、日付を跨ぐ手前まで過ぎた

今日も終わろうとしている今、
ココアを飲みながら君を待っている。

iPhoneを白いローテーブルに置いたまま、
頭のなかでグルグル回る
送ったメッセージの内容を忘れるために
Netflixオリジナルドラマをぼんやり眺めている。

今観ているストーリーが終わっても、
きっと、君からの返信を待ち続けるだろうなって、
思うだけでぞっとした。



✶君のすべてが好きだった

さよならを言ってから、
すでに2週間が経ってしまったんだね。
ひとりでスタバに来てみたけど、
寂しい気持ちはテーブルの上に浮いたままだよ。

ただ、今はソファに深くもたれて、
iPhoneを握って必要のない情報を
人差し指でなぞっているだけなんだ。

君との恋は若草の上を軽く流れる春風みたいだった。

「本当の恋ってなんだろう」
そうぼそっと呟いても、
君との関係は、
もう戻らないことくらい知っているよ。



✶輝いたままで

輝きを保ったまま、君との恋を永遠に保存したい。



✶レモネードを飲みあった夏に戻りたい

君とレモネードを飲みあった夏は、
私もこんなことになるなんて思ってなかったよ。

初めて、本当の意味で意気投合できるっておもっていたから、
本音をいっぱい一方的に思わず話してしまったんだ。

もしかしたら、私が甘えすぎた所為で君は引いてしまったのかな。

1年も満たないで君との関係は終わったけど、
君が言ってくれた、
「無理しなくていいよ。頑張り過ぎなんだよ」
って言われたことは、しばらく忘れられそうもないや。




✶失恋は天気予報より正確だ。――ありのままの私で恋がしたかった

君との憂鬱な冷たい雨のなか、
ドライブが始まった。
ジムニーシエラのワイパーは沈黙を一定のリズムでさえぎる。

私は未だに君が運転するジムニーの助手席に慣れたままで、
前なんて向くことなんてできないけど、
ただ、虚しくて、
日常だった、今の状況をただ、感じたい。





✶このままだと思ってた

会えない日は、
いつも朝まで通話をつなげっぱなしで寝落ちして、
ふたりはまるで、一緒に生活をしているみたいだったね。

私は君と一緒にさえいれて、
人混みの地下街を手を繋いで黙々と、
君のとなりで歩いているだけで十分だったんだ。

なのに、急に君がこの世界からいなくなるなんて、
ずるすぎて、寝不足になるくらい、
君の幻影が私の中から未だに抜けないよ。





✶自動的に君の笑い声がする。

君が好きだった映画が地上波でやっている。

どうしようもなく、ベタで、
どうしようもない、ギャグで、
それを何度も君は観ていたはずなのに、
素直に最高だって言って笑っている君が好きだったよ。

私は何度も見飽きた映画に付き合わされて、
君と別れる直前は飽き飽きしてたのに、
今、こうして観ているのは、どうしてだろう。

どうしてかわからないけど、
人差し指で頬に触れると濡れていた。



✶雪の夜、君との話は始まった。

君と最初にキスをしたのは、
雪が降る夜、歩道橋の真ん中だった。

数秒のキスのあと、
私は、手すりに降り積もった雪を道路に落とした。

夜の雪の所為で車通りが少なくなった片側2車線の道路は、
寂しさと冷たさを感じたけど、
君との思い出は永遠に暖かくして、
私の中で強く保存したいと思った。



✶1000年の中で生きているつもりで。

なぜかわからないけど、
お互い離れ離れだったような気がするんだ。

君がそう言ったから、
前世でも惹かれ合ってたんだよって言おうと思ってやめた。

だけど、本当にそんな気がするよね。
まだ、照れくさくて君に返せなかったけど。

もし、何度も生まれ変わって、
1000年後に君に再会したら、
今日のこと、そっと伝えてみよう。




✶夜が始まったビル街は夕立で濡れている

夕立で濡れたアスファルトに
夜のビル街のネオン色が反射している。
無数の人が行き交うその中をしっかり歩くたびに
孤独が深まっていくように感じる。

ただ、それでも毎日、
こなし続ければ、
いつか今の状況が好転すると思う。

今はそう信じるしか、
自分を労ることができないから、
「よくやってるほうだよ」って誰かに言われたい。




✶夏、ふたりは恋を深めるために旅に出る

キャッチャー・イン・ザ・ライを持って、
旅に出たふたりは、いくつもの真夏日を過ごし、
無数の思い出をiPhoneに残した。

そして、今、ひまわり畑の前で、
両手を伸ばして、微温い風を感じている。

ねえ、この爽やかな気持ちを保存したいから、
ひまわり畑で捕まえて。



✶5年後も君に会いたかった

もし、あの瞬間にタイムスリップできたら、
私はただ、君のことを抱きしめたい。

そして、君がいることをしっかりと感じて、
君の言葉を懐かしがりながら、
君の心の奥をもっと知りたい。

だから、今、
君が死んで、私の中で区切りがつかない、
5年前の恋を楽しんで、
嫌だけど君に永遠の別れを告げるよ。




✶君のすべてが好きだよ

きっと、ペンギン文明が中心になっている街で、
ふたりで暮らし始めても、
君となら、周りの目なんて気にせずに、
楽しくやっていけるような気がするよ。

たまにローソンで
ご褒美のバニラを買って、
それを夜の公園のベンチに座って、
ふたりで黙々と甘さを感じるんだ。

そんな関係になれたこと、嬉しいよ。
ありがとう。




2、センチメンタルな君は最高の宝物。― 2022.4の記録 ―


✶元気だして

春が来たんだから、
元気出して仕切り直ししよう。
お気に入り曲聴いて、
軽く走って汗をかいて。

新しいドキドキは
環境が変わるからで
変化にいつも弱い自分は
いつもこの時期、
臆病になり縮こまりたくなる。

臆病を太陽に浄化してもらって、
オレンジの皮むきみたいに
新鮮な酸味で踏み出そう。



✶受動態


僕はスロースターター。

人より生きるのが
不器用だから、
いつも肝心なことに
気づくのが遅れるんだ。

季節は淡々と過ぎ去っていく。
もう、外の匂いは春なのに。
君との関係もおざなりにして、
僕は一体、
何をやっていたんだろう?

そう、ぼやいて。

忘れてしまうんだ。
いつも、肝心なことを。




✶春はトレンチ


トレンチコートを
着こなす君は凛としていて
人には見せない弱さを
抱き締めたくなる

桜は散っていくけど
思い出はその分増えていくね

君は突然、立ち止まり
繋いでいた手を離して
屈みこみ
ひとひらの花びらを摘まんだ

綺麗だね

そのまま花びら持って
君が大好きな
クリームブリュレ食べに行こう



✶ナーバスに乗って


午後のカフェを出て、
眠気さましに歩くよ。
大好きな歌をイヤホンに流して。

こうすると魔法みたいに
嫌なことをすべて忘れられる。

臆病で人見知りの私は
ちょっとしたことでも
打たれ弱いから。

こうやって、
独りで過ごして
自分を調律して
奮い立たせるしかない。

明日も新しいこと頑張るよ。



✶おはよう。目が覚めたら、昨日のつづきだったね。


優しい朝日と手を繋いでベッドから起き上がった。

昨日のバイバイは、あっけなかったなって、
ちょっとした寂しさを胸に滲んでいるのを感じた。

あなたとの日常を想像してみたよ。

きっと夢見たいに自由で、
楽しく、上手く、
生きていけそうだね。



✶春の草原


破裂しそうな気持ち抑えて
破裂寸前まで強く抱き締めて。

春風は今日もピンク色していて
太陽の黄色い日差しの中で
誰もいない草原で二人、
風を思いっきり受けて。

もし、この瞬間、
世界で二人きりに
なったとしたら、
脱出の方法を考えずに
とりあえず、キスしよう。

君は強く切なく抱き締めた。




✶弱さを受け入れてこそ、愛。


夢で会ったあなたは赤い雨傘をさして、
土砂降りの中、凛と立っていた。

「強いね」そう声をかけると、
「強がってるだけなの」と言った。

その後、君は傘を放り投げて、駆け寄ってきた。

だから、強く君を抱きしめた。

「弱さを受け入れて」と君は言った。



✶ハイジャンプ!


悪いことばかり見ても
事態は変わる訳ではないよね
だから、好転することだけを
夢の中だけは信じたい。

アイデンティティを
傷つけられる毎日は面倒だけど
週末までやり過ごして
なんとか生きてるよ。

面倒はすべて
チューハイで流そう。
少しハイになって
たまにジャンプして
週明けまで忘れよう。



✶今、無価値の代償を支払いに行く。


タイムマシーンで君を迎えに行くよ。
時空の果てで遭難した君を。

座標をセットしたら、あのときのキスを思い出した。

僕が引き出しに、したためた手紙を君が読んでいたら、
――この作戦は成功だ。

僕はポータブルに吸い込まれた。



✶毎日を楽しく過ごすには、鋳銅が必要。


おはよう。
無邪気な子供のように毎日が楽しいのが理想だね。

今日も太陽にピースサインを送りましょう。
多少の摩擦なんて、
微塵も気にしない鋼のメンタルで
ネガティブを宇宙まで飛ばそう。



✶引きちぎって、退治しよう。


泣かないで。
君の気持ちをできるだけ、
すべてわかりたい。

マシュマロを引きちぎるくらいの力で、
君の心を伸ばしたい。

君の頬を引っ張って、
正気に戻してあげるよ。

悩みを全部、破棄しよう。



✶センチメンタルな君は最高の宝物。



ねえ、自分を大切にして。
どんなものでも壊すのは簡単だから、
治すのは難しいんだよ。

だから、自分を大切にして。

時計の針が止まる前に、
楽しい思いたくさんつくろう。



✶スプリングシャーベット


青空が綺麗だから、
急に君と話したくなった。

むずむずする鼻は
春が本格的になった証拠で
歩き疲れるまで
このまま直進したい。

忘れていた記憶が
脳内で直結して
傷を思い出して
流氷が溶けるくらい
胸が痛むよ。

気晴らしにハーモニカで
Cコードを軽快に鳴らすように
通話ボタンをタップした。




✶満たされない。


臆病だから、外に出るのも怖いし、
人にも会いたくない。

これ以上、傷つきたくないし、
自分を犠牲にしたくない。

臆病だけど、なんでだろう。
いつもの寂しいのは。



✶傘の下での約束


雨の中、君と約束してから、
すでにかなりの年月が経って、
僕も大人になった。

君もきっと、
大人になったはずで、
ため息がどんな色なのか、
散々、わかっているはずだ。

あのとき、無垢に永遠を誓った傘の下。
君は今でも鮮明に幼いままだ。

どんよりした日、外に出ると思い出すんだ。
永遠に会わない君のことを。




✶涙が枯れた朝なのに、空虚なのはなぜかしら


心にポッカリと空いた穴は
朝、目覚めても、
全然、埋まらなくて。

行く宛を失った手紙みたいに
差し戻しできたら、すごく楽なのにね。

眩しすぎる朝日で、
すべて癒やしてほしい。

すべてが終わった果ての気持ちまで。



✶君と最強の愛を誓った日は豪雨。


豪雨の中、抱き合って愛を確かめる。
煙るアスファルトと濡れて艷やかな君の髪で、
自分を取り戻せている気がした。

このまま、ふたりで蒸発できたら、
最高だねって笑う君は、
最強の愛だね。

雨の中、ふたりで誓った。



✶悩みあるときは、シャボン玉でも吹いてよう。


不甲斐ない思いをシャボン玉の中に、すべて吹き込んでしまおう。
ストローから離れ、上昇していくのを眺めた。

虹色に太陽を反射して、
一瞬、きらめいて消えていった。

これと言って、
気持ちは晴れないけれど、
あんなふうにすぐに終わればいいな。



✶楽しいことはキャンディボトルに詰め込んで、
    夢みたいに絶望的な日々を乗り越えていこう。



恐れないで。
楽しいことをキャンディのように便に詰めて過ごそう。
七色のパステルのように、
甘く、傷つかない日々を胸に詰めて過ごそう。

生きるのを諦めないように、
甘酸っぱさを感じて、
正気を取り戻そう。

そうすれば、
今日もきっと上手くいく。



✶天気予報が告げられるように
   自分のコンディションも告げられたらいいのに。


長期的なスランプは今日で止む予報なのに、
未だにローテンションで、
改善される見込みはない。

外は朝から雨だから、
今日はぼんやりとコーヒーを飲んで、
ぼやけた頭ん中をしっかりと空っぽにしよう。



✶微笑んでおこう


夕暮れの堤防を君と歩いている。
少し意識してるから、会話は間延びしがちだ。

新しいスニーカーが足にあまり馴染まなくて、
出来たての靴ずれが鮮やかに痛んでいる。

色々、聞きたいけど引かれるのは怖い。

当たり障りないことが上手く思い付かないから、
とりあえず、微笑んでおこう。



✶君の微笑みが無敵なのは、
   最上級の優しさを兼ね備えているからだよ。



今朝の夢の中で君は頬杖ついて、
外の景色を見ていた。

優しく、そっとした声で、
「なんで落ち着くんだろう」って
君は微笑んでいた。

こんな一瞬が、
ずっと永遠に続きますようにと、
今夜、流れ星にお願いしてみようかな。



✶今日、生きるための嘘で後悔している君へ。


嘘をついてもいいよ。
生き抜くためのことでしょ?

それで自分を守れるなら、
特売のライムみたいに
絶妙な酸味でお得だよね。

今、自信がないなら、
嘘をついて、
明日から胸を張ればいい。

だけど、嘘にもルールがある。
誰も傷つけないことだよ。




✶週末、君が強がっている理由を知りたい。


不意に君のことを意識したのは、
春風が君の前髪を揺らしたその瞬間だった。

君は凛としていて、
無理して、
強がっているように見えた。

だから、今夜、ウォーターフロントで待ち合わせをしよう。

カクテルの力を借りて、
君の果てを聞いてみたい。



✶ぐるぐる回るくらい、
   心の傷が癒えないのは忙しい所為だね


過去をかき消して。

そう願っても、未だに心の傷が癒えないのは、
自分を大切にできないからなのは、わかっている。

今の自分が好きじゃないから、
誰かに責められたことを思い出す。

朝霧の中に溶け込むように
無になれないから、
生きているという事実だけを噛み締めよう。



✶ポケットいっぱいに好奇心を満たせば、
      ファンタスティックは激動する。


毎日、不思議を追うように好奇心を満たそう。
水瓶をソーダ水で重くするくらい。

幼かった頃は誰でも、
虹色の夢を無限に持っているのに、
大人になるとキャンディみたいに消えるね。

汚くて、憎い気持ちなんて感じなかった頃みたいに、
ファンタジックな日々を過ごしたい。



✶社会が大っ嫌いなのは、薄汚れた嘘が嫌で自分を保てないからだ。


素直になれない。
雨の庭を裸足で駆け抜けるように
大人になれない自分が
たまに情けなく思ってしまう。

割り切って笑顔で誤魔化して過ごしていればいい。

床いっぱい、こぼしたマーブルチョコみたいに
淡い夢を演じればいい。
それが出来ないから、
自分を保つことができるんだね。



✶苦味を感じなくなったのは、リラックスできるようになった証拠。


カフェの窓辺で緑道を眺めている。
朝日できらめく新緑が眩しくて、
少しだけ感傷を思い出した。

もう、二度と会うことがない、
眠ったストーリーが胸の中をギュッとする。

君の名前を囁いたあと、
忘れるように
コーヒーを口に流し込んだ。



✶君との予感は本物だって心の底から叫びたい。


ベンチでふたりきりで、
無限な夢を語っている。

揺れる思いを隠すので必死で、
君の表情を上手く見れない。

このまま時間が止まればいいと、
思う気持ちを読み取ってほしい。

ぼやぼやして笑ったら、
はずみで君の手に触れた。

プラズマで以心伝心した気がした。




✶君が泣いたら、僕も悲しいよ。
   だから、そばにいて離さないよ。


君が泣いたら、僕も悲しい。
ちっぽけな存在に感じる。

揺れ動く思いは、
低音を捉えるイコライザーみたいに
とても繊細で心細く感じる。

涙のあとは、
夕暮れに染まる君と手を繋ぐよ。

愛を目一杯、左手に注ぎ、
苦い呪いを消してあげる。






3、好きでいてくれて、ありがとう  ― 2024.1~2の記録 ―


✶今年も君の笑っている姿を見続けたい。


ハスキーな君の声は何気ない言葉でも
切なさを帯びていて、
最高の青に近い透明だよ。

そんな君と、今年もたくさん、
ただ、笑いあいたい。



✶この冬を君も一緒に保存したい。


いつかふたりとも、
嫌でも大人になるけれど、
雪が似合う今の君を永久に保存したい。



✶今はただ、君の無邪気さを感じたい。


夜のバス停で君とふたりでバスを待っている。
バカなことしか言わない君の話で、
お互いの笑い声が響くけど、
バスに乗るとそんな笑い方できないよね。

だから、今は君をただ笑わせて、
楽しそうな君の声を聞いていたい。



✶今の恋を永遠にしたい。


午後の黄色で輝く岬で、
君と笑いながら金色の南京錠を
鍵で埋まったフェンスにそっとかけた。

「永遠の魔法だといいね」
そう言って、君は南京錠に指をかけ、
今の愛に鍵を締めた。



✶この瞬間が嬉しすぎて、急に照れくさくなった。


オレンジや白、黄色で優しく輝く街を展望台から君と眺めている。
冬は順調に深まるにつれて、
君のことを知れた気がするって言いたくなった。

だけど、少し、それを言うのが照れくさくなったから、
なにも言わずに
右手でそっと、
赤い手袋をしてる君の左手を握った。



✶ゼロの天然水。


なぜかわからないけど、
今、心の中を静かに灯されて、
氷のまま冷蔵庫に眠っていた天然水のように
本当の自分らしさが溶け始めたような気がするんだ。

だから、偽ってズレた自分を、
ゼロに戻していくよ。



✶いつか今日の寒さをふたりで思い出したい。


ずっと、君と手を繋げるように、
雪の街を背景にiPhoneで自撮りして、
今日の冷たさを夏に笑い合おうね。



✶なんでこんなに楽しいんだろう。


飲みかけのシャンディガフの泡は
もう消えてしまいそうだけど、
君とは無限に話し続けられそうだよ。

ねぇ、もっと君の話を聞かせて。



✶それだけで十分だよ。


笑いあって、
君の声を確認しあって、
ただ、今は君のことを抱きしめたい。



✶誰もいないホームで、君とふたりで電車を待っている。


薄暗くなったホームのベンチに座り、
ふたりで無限にくだらないことばかり言いあって、
友達以上恋人未満にもっと浸っていたい。

遠くで鳴る踏切の音がして、
一気に離れ離れの現実が訪れた気がした。

だけど、そんなことなんて気にもせず、
君が無邪気に笑い続けるから、
もう少しだけ電車の速度が落ちればいいのにって、
静かに願った。


✶君の感性を守りたい。


青くて、尖っている君の感性を、
はぐれたペンギンを保護するみたいに
しっかり守りたいから、
僕は君のことを全力で肯定するよ。



✶似た者同士なのにね。


似た者同士なのに、
少しだけ笑いの沸点が違うから、
君と無限に話せるんだと思う。



✶恋を阻む罠。


君の横を歩いているけど、
胸に秘めた気持ちを伝える勇気なんて出ないよ。

だけど、このまま春を迎えるのは嫌だよ。

勇気出して、君の手を繋ごうとしたら、
静電気に阻まれた。

君と見つめ合い、痛いと笑い合い、
はしゃぐ今を瞬間冷凍したくなった。



✶悩みを閉じ込めないで。


「ありのままって難しいよね」
って君が言ったから、
君の悩みが深いことに気がついたよ。

そして、なにもなかったかのように、
今飲んでるココアの話を始めたから、
思わず、「待って」会話を切ってしまった。

きょとんとした表情の君は、
どうしてって言いそうだけど、
そんなことより、君の話、聞かせてよ。



✶あなたとの恋はキラキラしたままだよ。


離れるつもりなんてなかったのに、
すれ違った言葉で恋は消えてしまったね。

ただ、あなたと過ごした日々が、
胸の中で、まだキラキラしているのは、
思い出補正の所為じゃないと思ってるよ。



✶君の優しさが眩しすぎる。


別に会いたいわけじゃないよ。

ただ、寂しいだけだよ。って、
わざとらしく言っても、
君はきっと笑顔で許してくれそうだよね。

たまに君の優しさが眩しすぎるときがあるんだ。



✶楽しい思い出がもっとほしい。


ソーダ水で喉の渇きを癒やす以上に、
もっと、楽しいことを欲しがる性格だから、
満足できないくらい君と楽しいことがしたい。




✶夜のスタバで紡ぐ、自分への愛。


iPhoneをなぞり紡いだ言葉は、
ほとんど無意味なことは知っているよ。

ただ、夜のスタバで、
頭の中を整理する時間が必要なだけなんだ。

ただ、今日もよくやったって、
自分をしっかりと励まして、
明日も生活を紡ぎたいだけなんだから。



✶雪が降る街で君とはしゃぎたい。


雪が降る街のなかで、
雪だねって、ふたりではしゃぎながら、
ただ、君の手を繋いだままでいたい。



✶君が傷つきやすいのは、知っている。


切なさをインストールするように、
君としっかり見つめ合うと、
そんな傷つきやすい君を抱きしめたくなる。



✶夕暮れのなか、君とくだらないことを話すのが楽しすぎる。


君と一緒に駅に続く夕方の坂道を下っている。

君とくだらないことを、
言い合って、笑い合うのが、
なんでこんなに楽しいんだろう。

遠くで踏切の音が切なく感じるのは、
このまま君と、はしゃぎたいからだよ。



✶そんなつもりなかったけど、少しだけ、後悔してるよ。


急ぐつもりなんてないよ。

ただ、自分のこと考えすぎて、
君のことを考えられてなかっただけだったね。

一瞬でも君のことを忘れてごめんね。



✶好きでいてくれて、ありがとう。


好きでいてくれて、ありがとう。
君のことが好きすぎるから、
君の理想の裏まで、
透き通った究極になりたい。




✶君との日々をたくさん残したい。


君との日々を1秒たりとも忘れたくないから、
君とiPhoneで自撮りした動画は、
iPhoneの容量を圧迫するばかりだね。

そんなデメリットなんて気にせずに、
ただ、君とたくさん思い出を作りたいだけだよ。



✶日々の積み重ねに意味は求めてないけど。


カフェでぼんやりしながら、iPhoneで日記アプリに日々書いた
無数の意味のない言葉を眺めている。

別にそれなに意味なんて求めてないけど、
それなりに日々しっかりやってるじゃんって、
自分を褒めたくなった。



✶君はただ、疲れてるだけだよ。


静かに方を震わせ、
泣き始めた君の青の涙を拭いたいから、
疲れ切った君を、ただ、抱きしめたい。



✶街が寝静まる空気を感じると、
   君とのことをつい思い出しちゃうよ。


ごめんねって、素直に言えなくて、
結局、あのときはお互いに幼かったから、
ふたりはすれ違っちゃったね。

いつものように終電で帰り、
夜道を歩いていると君のことを思い出すんだ。

何年経っても、夜の中、手を繋いで歩いた
何気ない日々が忘れられないや。



✶悩みを溶かしたい。


チョコレートでボールを溶かすように、
君が抱えている厄介なことも、
溶かし切って、生クリームを混ぜて、
新しい甘さに変えたい。



✶不器用すぎて、自分が嫌になったら。


ありのままって難しすぎて、
いつも、自分が不器用すぎるのが嫌になる。

こういうときは、決まって、
夜の外に出て、深呼吸をして、
自分が自分だってことを確かめる作業が必要なんだ。



✶もし、あのときにタイムスリップしたら。


君はもう、あのときの約束なんて、
すっかり忘れてしまったんだろうね。

あのときのまま、季節に置いていかれたのは、
自分だけかもしれないって思うと、
ときどき、孤独に押しつぶされそうだよ。

だから、もし、タイムスリップできたら、
あのときの約束を有効なままの関係になるように、
君のこと、もっと深く知る努力するね。



✶ささやかだけど、君の今までの頑張りを認めることを形にしたよ。


君はここまで頑張ったと思うよ。

証拠や根拠を示す必要なんてないほど、
今を忙しくして、ギリギリだったんだから。

だから、今日は特別に、君が気になってた、
エキナカのクリームブリュレ買ったよ。



✶お互いに青かったね。


青い記憶の中で、今日も君は輝いているよ。



✶君は我慢強かったんだね。


このままの関係が続いたら、
きっと、君とは親しい関係のまま、
甘え続けられたと思う。

だけど、君に甘え過ぎだったってことを、
君が去ったあとに気がついた自分は、
本当に自分のことばかりで甘かったね。



✶いくつも季節が流れたけど、未だにあの日を思い出す。


あの日、夕日の中で君が泣いていたのに、
君のことを上手く慰めることができなくて、
不甲斐なかったね、ごめんね。

あのときから、いくつも季節が流れたけど、
君には、あのときの素直さを忘れないでほしい。



✶この街の思い出が重すぎる。


ほどけたブーツの紐をなおしながら、
風に乗った冬の匂いを感じた。

河川敷はまだ、春なんて遠いような寒さだけど、
あと1ヶ月もしないうちに
この街から出ていくと思うと、
それすらも感傷の材料になるような気がした。



✶誰も知らないところで、君が頑張っているのは知っているよ。


もう、頑張る必要なんてないと思うよ。

意味や効率を追求したら、
時間の悪魔に追い立てられて、
自分を見失うだけだから。

だから君のペースで一歩ずつ、歩めばいい。




✶今は考えるのをやめてしまおう。


気分が悪くなることなんて、
考えるのをやめてしまって、
今は、現実逃避に集中しようよ。

とりあえず、ウィルキンソンでも飲んで、
諦めるのも悪くないって、
しっかり自分を落ち着かせよう。



✶このままで甘えたい。


どれだけ、季節が巡っても、
成長できないから、
もう、そのままの自分で、
君の理想に近づくことにしたよ。

だから、わがままかもしれないけど、
このままの私を許してほしい。



✶もう、こんな時間なのはわかってるけど、
       マイナスに支配されるよりマシ。


マイナス思考で頭がいっぱいになったから、
夜にコーヒーを飲んで落ち着かせている。

もし、上手く寝付けなかったら、
明日は休む覚悟で飲んでるから、
こんな時間に飲むなよって言わないでほしい。



✶ネオン色の流れに吸い込まれながら、君のことをふと思った。


今日も夜の雨の中を泳ぐみたいに、
疲れたまま黙々とスクランブル交差点を渡る。

濡れたアスファルトに街のネオン色が反射していて、
多くの雑音が自分の思考を止めようとしているみたいだ。

透明な傘同士が触れあわないように、
無機質に世界が流れていく。

疲れながらも、週末、君に会えさえすれば、
それでもいいやって思いながら、
交差点を渡り切り、
駅に吸い込まれる流れに乗った。



✶ただ、君の疲れを癒やしたい。


「疲れた」と言った君の憂鬱な表情と、
強い春風で揺れたボブの毛先が、
最高にかわいいと思ったから、
君の疲れが抜ける魔法を心の中で唱えた。




✶忘れたい記憶で取り残される。


忘れたい記憶が残ったまま、
トラウマは刻まれたまま、日々は過ぎていく。

その青いままの棘を忘れて、
なにも考えずに肝がんに踊ることができたら、
きっと、もっと生きやすくなるのはわかってるよ。

だけど、不器用すぎて自分を軽くできないんだ。



✶スタバで待ち合わせしたいくらい。


スタバで待ち合わせしたいくらい、
君とゆっくり過ごしたい気持ちがあるよ。

だけど、今はしっかり休んでほしい。




✶連れ出してあげる。


ねえ、つまらないこと考えてないで、
気になってた新しいカフェに行って、
一緒に甘いもの食べよう。




✶窮屈は嫌だ。


とにかく、外に出て走りたくなったんだ。

深夜の商店街は薄暗い白さで、
誰もいなくて、自分が取り残されたように感じる。

ただ、嫌なことをすべて忘れたい。

だから、気が済んだら、ローソンに入って、
ハーゲンダッツバニラを買って帰ろう。




✶ダウンロードした昨日の悲しみを捨てて。


ダウンロードした昨日の悲しみを捨てて、
ポカポカの公園のベンチに腰掛け、
今は忘れて、春の訪れをぼんやりと感じ取ろう。

孤独には勇敢と名付けて、
自分から世界を愛せるように、
ただ、心の中を空っぽにするんだ。



✶少し背伸びして、大人っぽいワンピースを買った結果。


君のために少し背伸びして買った
青いワンピースを褒める君は本当に優しい人だね。

少し大人っぽいかもと思ったけど、
素直に褒めてくれて嬉しいよ。




【初出】
 1章
 完全書き下ろし

 2章 
 蜃気羊X(@shinkiyoh)
 https://twitter.com/shinkiyoh
 
 2022.4.2~4.30


 3章 
 蜃気羊X(@shinkiyoh)
 https://twitter.com/shinkiyoh
 
 2024.1.1~2.23