「ねぇ、アレ」
「しーっ」

 なんか明らかにクラスのリーダーみたいな子に睨まれてるし。
 今まで散々目立たないようにやり過ごしてきたのに。
 ただでさえコミュ力ないんだから、せめて目立たないで大人しく、卒業まで地味に生きていこうと思っていた。じゃないと、昔みたいな目にあうから。もうあんな思いはしたくない。絶対嫌だ。
 そう思うけど、ハチ君を拒絶したらしたで「何様のつもり」って女の子達に言われる気がする。
 どうしたらいいんだろう。そう悩んでいると。

「お昼一緒に食べよう星奈ちゃん」
「う、うん」

 もう昼休み。机をくっつけたまま、少なめのお弁当を広げるハチ君がいた。和食中心な、ヘルシーな女の子が好きそうなお弁当。私は普通の卵焼きやウィンナーや唐揚げの入ったいつも通りなお弁当。

「ちょっと愛内さんいい?」
「え?」

 クラスのリーダーっぽい女の子とその友達が私の後ろに立っていた。吊り目気味の目が私をまっすぐ見据えている。

「ちょっと来て、愛内さん」
「え、あ。ごめん、待ってて。ハチ君」
「はーい」

 のん気な返事をするハチ君。私は怯えながら廊下に移動する。
 そして、不機嫌な女の子達は私を一斉に睨む。怖すぎる。
 リーダーっぽい女の子が少し赤く彩られた口をひらいて言った。