「よし、どうせ席も隣だし愛内、八田の面倒見てやれ」
「え」

 そして正式に私の隣がハチ君の席だと聞いて、頭を抱えた。やだなぁ、これからずっとみんなの注目を浴びてしまうなんて。

「教科書とか、見せて欲しいから机くっつけていい?」
「あ、うん」

 なんだかハチ君から清潔な感じの香りがする。そう思い見惚れていると。

「僕と一緒は嫌かな?」

 おねだりするようにハチ君は言った。私、無言で頷くしかない。そして心臓の音がデカくなる。私、カッコいい男の子とこんなにくっついた事ないもん。

「そんな事は!」
「よかった。これからよろしくね。星奈ちゃん」

 ナチュラルに下の名前呼びは固定なんだね。あ、今クラスメイトの女の子絶対睨んだ。ヒィ。
 しばらくして授業が始まる。一時間目の授業は古文。はっきり言って、退屈な時間だ。すると私に体を寄せてくるハチ君。

「これってどう言う意味?」
「えっと、これは……」

 近い。お顔が近いですハチ君! もしかしてハチ君って距離感バグってる人?
 まるで子供みたいに人懐っこいし異性への距離が高校生らしくない。
 そして集まる視線。主に女の子から。