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もっと早くハチ君と出会ってれば、再会していれば。
そんなやな気持ちが湧いて出る中、私は救急車に乗った。
虚なハチ君に言われてハチ君の両親にも連絡を入れた。
そしてハチ君はあの病院にまた入院する事になった。
「ごめんなさいね、愛内さん。色々巻き込んで」
「うちの北斗がすまないね」
ハチ君のお母さんとお父さんは少しやつれていた。仕事中だったのか、お父さんの方はスーツ姿である。ふたりは申し訳なさそうにしていたけれど、私の両親も後で来る予定だった。正直気まずい。
「愛内さんの話は昔から聞いてたよ。入院されてるおばあさんとも顔見知りだったしね」
「そうなんですか。ハチ君のお父さん」
「再会を望んで北斗が泣くから、わがままを聞いてしまったけど、再開する事で傷つけることをしてすまないね」
「そんな」
ツラくないことはないけど。再会できて良かったとは思っている。
「今夜、病院は泊まっていっていいそうだ。もう北斗はあの街へはいけない。どうかそばにいてやってくれないか」
「いいんですか。私なんかが」
「北斗から、愛内さんがいい子なのは聞いてるよ。むしろお願いだ。一日だけでいい、そばにいてやって欲しい」
すがるように、泣きそうな声でハチ君のお父さんは言った。お母さんはすでに泣きじゃくっている。そんな時だった。