「あ、やばい。傘持ってないや私」
「僕も。どうしよう。向かいのお店に傘売ってないかな?」
「あるかも。とりあえず映画館出よう」

 映画館を出て、早足で外へ向かう。
 だけど、間に合わずに雨が降ってくる。
 小雨かと思ったら、土砂降り。そして向かいのお店は定休日。どうしよう。そう多い立ち尽くす私達。

「雨、ひどいね」

 そう言いながらハチ君は立ち止まる。なんかフラついている?
 表情もうつろだ。

「ハチ君? 大丈夫?」
「ダメかも」

 ドサリ。
 流れるように、そのままハチ君は倒れた。「どうしたの」「あれヤバくない?」と周りの声が聞こえてくる。私は頭が真っ白になって、叫びながらハチ君に取り縋った。

「ハチ君!」
 しばらくして誰かが救急車を呼んだのかサイレンの音が近付いてくる。私はハチ君の隣て途方に暮れていた。
 まるで夢の終わりのようだと私は思った。