絡みつくように手を握りしめるハチ君。私だって、その手を一生繋いでいたかった。空っぽのポップコーンの箱が転がる。中には何もないけど、それを私は拾う。甘い匂いがぷんと鼻につく。

「映画面白かったね。また見ようね、ハチ君」
「うん。今度はポップコーンも違う味がいいね。チョコレートとか」
「二種類頼んで分け合ってもいいかも」
「確かに」

 何度でも、一緒に映画が見たかった。
 どんなにつまらない映画でも良かった。ただ、ふたりの共有する時間がほしかった。
 正直他の人から見れば私達は大して時間も共有していないのに、惹かれ合いすぎているのかもしれない。それでも良かった。私ははち君が好きだった。何も知らないくせに、と言われても、やっぱり好きだった。

「映画のグッズ買わない? ハチ君」
「いいね。この映画も星が出てきて綺麗だったし、グッズに星のキーホルダーもあるし」
「どうせならお揃いにしようか、このキラキラした星のストラップとかどう?」
「いいと思うよ、星奈ちゃん」

 少しホログラムのついた、可愛い金色の星のストラップ。下にはピンクと黄色と水色のキラキラしたリボン付き。ファンシーですごく可愛い。
 レジでお金を払って、それぞれのスマホにつける。それを見て、笑顔になるふたり。私のスマホには、昨日取ってもらったミルフィーのマスコットもつけてる。それを見たハチ君は。

「あ。僕の取ったやつ! つけてくれるんだ」
「もちろんだよ。一生大切にする」
「また新しく取れたらあげるよ、今日もまたゲーセン行かない?」
「そうだね、時間あるし、ご飯食べてから行こうか」

 ハイテンションに私達は騒ぐ。すると窓から見える空が曇ってきた。