***

 家に帰って、ハチ君が映ったスマホの写真を見ながらベッドに横になる。やっぱり綺麗な顔をしてるなあ。ハチ君。なんてしみじみ思ったりして。モデルさんみたいに手足長いし、白いし。
 それに比べて私の平凡な事。過去の出会いがなければハチ君ほどの美少年と絡まなかったのかな、と、思いハチ君なら誰とでも気さくにできるかなとも思う。
 まだ半保健室登校であれど、誰にでも挨拶するし。明るいし。健康であれば絶対人気者だろう。私と違って。

「ハチ君から連絡だ。明日映画見に行かない? オッケー、っと。楽しみだなあ」

 思わすはにかむ私。なんの映画を見るか話し合い、結局はベタ甘のラブストーリーにする事になった。初恋の男女が純愛を貫く泣けるストーリー。正直男の子と見るのが恥ずかしいけど。特に気になる相手とは。
 明日何着てこうかな、とワクワクして洋服を引っ張り出す。

「これもダメ、あれもダメ」

 どうせなら一番可愛く見える服で行きたいのに。結局は白いワンピースにレモン色のカーディガンを選んだ。
 本当に明日が楽しみだ。私は甘く高鳴る心臓を抱えながら眠りについた。ハチ君の夢を見た。夢の中で私たちは星空の下、草原を走り回っていた。ハチ君は病気が治ってしまったかのように元気よく身体を動かし、私はそんなハチ君と一緒にいっぱい笑った。
 目覚めても、しばらく最高に幸せな夢の余韻に浸っていて、しばらくベッドから起き上がることができなかった。