ハチ君に別れ際にそう言われた時に目が覚めた。
 あの後だ。学校でいじめられてる子を庇ってハブられたのは。

 朝起きて友達におはようと声をかけても、そこにいないものとして扱われる。体育とか、ペアやグループを組む授業で仲間外れにされる。私が庇ったいじめられっ子は、何のためらいもなく私をハブる側に属していた。

 それから。私は目立たないように生きる事を決めた。その後、おばあちゃんがハチ君のいた病院に入院して、ハチ君を探して回って。しばらくしておばあちゃんが亡くなった頃には、病院の事を必死で忘れて思い出さないようになった。
 大好きだったおばあちゃんが入院して、おじいちゃんが老人ホームに入って。
 そこで、もう一度目が覚めた。二度寝していたらしい。

 ハチ君は体調が戻ったのかジュースを飲んでいた。

「ごめんなさい、ハチ君、私約束、忘れて」
「ううん。何かあったんでしょ。おばあさんが死んだからかな?」
「なんでわかるの!?」
「誰かが死ぬって本当辛い事だし、ごめんね。星奈ちゃん。また星奈ちゃんを悲しませるってわかってて、来ちゃった」

 ひどく早口にハチ君は言った。今にも泣きそうな表情の破裂しそうな笑顔で。