「うわああ、綺麗な星」

 ハチ君は両手を広げ飛び跳ねて言った。

「本当、綺麗だね。皆を空の上から沢山の星が見ているみたい」

 まるで、暗い夜を照らして道標でいてくれるみたい。

「僕も死んだらお星様になるのかな」

 ボソリ、とハチ君が悲しそうに言った。

「何を言ってるの、ハチ君。ハチ君は死なないよ」

 私の言葉にハチ君は笑わなかった。

「絶対、いつか星奈ちゃんに会いに行くから」

 曇りのない目でハチ君が私を見つめる。

「うん、待ってる」
「その時は、恋人になって欲しい」
「え、恋人?」
「ダメかな」
「ううん、いいよ。約束」

 私達は指切りをした。そしてそっと暗くなりすぎないうちに病室にハチ君を戻した。まるで長い長い冒険のようで、実際は三十分も立っていなかったはずだ。

「大好きだよ、星奈ちゃん」