「おばあさんと僕、ずっと同じ病院に入院してたんだよ。星奈ちゃんがお見舞いに来た時は、とっさに隠れてしまったけど、どこら辺住んでるかとか、色々聞こえてたし。気持ち悪いだろうけど制服を見て高校もわかったから、私立だし色々病院からもお願いして転入させてもらったんだ」
「そうなんだ」

 前に会った気はしていたけれど、そんな過去があったんだ。ちっとも思い出せてなかったことが申し訳ない。

「だから、星奈ちゃんがいじめられっ子を助けて余計なお世話って言われて凹んでた事とか。テストの点は美術だけ悪いとか。色々聞こえてた」
「そんな事まで知ってるの!?」
「ごめん。ストーカーみたいだよね」
「私こそ、あなたの事忘れててごめん。あんなに仲良かったのに」
「僕の名前も知らなかったから、仕方がないよ」

 今思えば、見た目もさほど昔と変わってない気がする。あの頃のハチ君も可愛かった。犬っぽいところは、成長しても相変わらずだ。

「なんであの時ハチ君は名乗らなかったの、私は名乗ってたけど」
「忘れてた。星奈ちゃんといるのが楽しすぎて」

 えへへとハチ君は笑う。

「一緒にいれるだけで幸せだった。小学校なんか数えるぐらいしか行けてないし」

 それぐらい、身体が弱かったのだろう。私は休んだ日のほうが数えるくらいなのに。

「それはどうして?」

 ハチ君は、なんで入院してたんだっけ?
 いつも同じ病室にいた気がする。