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 私は一旦ゲーセンに着いてからトイレに行った。
 そして、そこら辺にいるはずのハチ君を探す。ゲームセンターも人が多くて、探すのにちょっと苦労した。

「いた、ハチ君」

 真剣な顔で何かと見つめあっている。USOキャッチャーの取り出し口に、ゴトンと景品が落ちる音がする。

「取れたー!」
「何USOキャッチャーしてるの?」
「星奈ちゃんが好きなミルフィーがいたから! はいどうぞ。ミルフィーのマスコット」

 ハチ君はピンクのウサギのミルフィーのマスコットを見て笑った。
 え? 私は目をパチクリする。ハチ君が私に満面の笑顔でミルフィーを差し出す。私はそれを受け取る、するとハチ君はさらに笑顔になった。その顔を、昔どこかで見たことがあるような気がした。どこでかは思い出せないけど。

「ありがとう、なんで私はミルフィー好きなの知ってるの?」
「昔よく、ミルフィーの帽子被ってたじゃん。覚えてるよ?」
「え? なんで知って」
「どうして思い出してくれないかなあ。あんなにも一緒に星を見たのに」

 ハチ君がちょっと悲しそうな目になって、拗ねるように口を尖らせた。

「もしかして、おばあちゃんちの近くの病院の一階にいた子?」

 そう言った途端、ハチ君の顔にぱっと喜びが広がる。まるでひまわりのような笑顔だ。

「そうだよ、よく窓越しに一緒に星空を見てたでしょ」

 ウキウキした様子で、なぜか泣きそうな声でハチ君は言った。

「懐かしい! ミルフィーの帽子被ってよく見に行った。いっぱい話したよね。ごめん、おばあちゃんが死んでからあの頃のこと考えないようにしてた」

 それまでは、たまに夢に見てたのに。私って最低。