「じゃあ、みんなでクレープでも食べない? 公園の近くに車で販売してるところ知ってる」

 田城さんがそう言って、クレープ屋さんに連れてってくれた。
 私が苺チョコクレープを頼むと、ハチ君も同じのを頼んだ。ちなみに田城さんはソーセージ入りのやつで、工藤君はクリームのやつ。

「ハチ君、クリームついてる」

 唇の真下に、たっぷり。まるでサンタのおじさんみたい。

「! 星奈ちゃん!?」

 とっさに手を伸ばしてハチ君の顔のクリームを取ると、真っ赤になって硬直するハチ君。って。私さりげなく何してるの?

「ごめん、ハチ君。唇触って」
「…………」

 無言になるハチ君。え。自分からはグイグイくるのにそこで真っ赤なの。

「あ、あ、ありがとう!」

 ハチ君は勢い良くその場にしゃがみ込む。顔を両手に当ててる。あ。クレープ落ちた。

「大丈夫? ハチ君」
「ドキドキしてやばい。気絶するかと思った」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟じゃないよ! 星奈ちゃんが自分から近づいてきてくれたんだよ!? 嬉しいし心臓が壊れそうにもなるよ」
「本当八田は愛内のこと好きだな」
「本当。お似合いだよね、太一」

 微笑ましそうに笑う工藤君と田城さん。お似合い。そんなこと言われたら、恥ずかしくて顔の温度が一気に二度くらい上がってしまいそうだ。