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「テンション上がりすぎて早く起きちゃった」

 やばい。まだ待ち合わせよりだいぶ先だ。なのにもう慣れないメイクを頑張って、履き慣れないフワフワのスカートを履いた。白いシャツに、黒地に白の水玉のスカート。ビジューのついた茶色のサンダルに髪の毛は白いレースのシュシュで束ねる。
 うわあ。私浮かれすぎ? だって、生まれて初めてだもん。男の子とデートも、高校生になってからの友達との遊びも。

 はあ。緊張する。私張り切りすぎてないかな?
 飲み物とお財布を赤いショルダーバッグに詰める。
 時間を潰すために文庫本を開くも、頭には入らない。一生懸命時間を潰して、時間の数十分前になった。

「いってきます」

 お母さん相手にそう言って、駆け足に公園に向かう。休日の公園は、天気がいいこともあってか、人が多い。遊具には子どもたちが鈴なりになり、カップルがベンチで話し込んでいて、芝生の上でキャッチボールをしている人もいた。
 すると誰かが私に向かって走ってくる。そして勢いよくズデーンと転ぶ、
 まるでコメディ映画のように、みんながクスクス笑って見てる。
 だけど、立ち上がった男の子のルックスを見て皆が黙る。
 だって彼は美しかったから。

 その正体は。