ハチ君も不満そうにした後笑顔で言った。
 委員長カップルが私達と一緒にご飯を食べるようになったのだ。
 そのおかげか、クラスメイトは誰もからかいに来なくなった。ハチ君は、勉強はついていけてるらしく、小テストの成績は良かった。体育は見学だという噂だけど。
 何気に田城さん達は人望も熱いし生徒会役員だし、先生にも顔が効く。誰も敵に回したくないんだと思う。

「おいしいね、星奈ちゃん」
「そうだね。ハチ君」
「その卵焼き、僕にアーンして」
「それはお断り」
「えー」

 私達はカーテンから漏れる光と風に当たりながらお弁当を楽しく食べた。
 その頃は、まさかハチ君にあんな過去や秘密があるなんて、知るよしもなく。ただひたすらその綺麗な横顔を無心で眺めては、心の中で首を傾げていた。