「大丈夫?」
「理沙子、先生を呼んできてくれ。俺が八田を運ぶ」
「よろしく太一」

 それはクラスの優等生カップル、委員長こと田城梨沙子さんと副委員長こと工藤太一君だった。クラスでも真面目なグループの、特に真面目なふたりだ。
 理沙子ちゃんはオシャレで、綺麗伸ばした黒髪を真ん中で分けている背の高い美人さん。太一くんは短髪で運動神経も良くて明るく勉強も運動もできる気さくな男の子。

「愛内さんは、保健室についてきて」
「うん。工藤君。あとはお願いね、田城さん」
「任せて。去年は私保健委員だったんだから」
「ごめ、んなさい」

 泣きそうなハチ君。顔色も悪いままだ。

「体調悪いの気づいてあげれなくてごめんね、ハチ君」

 それ以前にもっとハチ君を思いやって断るべきだった。
 なんて最低な私。

「ほら、保健室着いたぞ、八田。すみませーん。先生、体調不良です。転校生の八田」
「あら、工藤君。連れてきてくれありがとう。愛内さんは、付き添いかしら?」
「そうです」
「星奈ちゃん、授業までそばにいて。僕、後はなんとかするから」

 甘えた声で私の制服を引っ張るハチ君。
 本当に、なんで私がいいんだろう。