星空を見上げて私は静かに今日も願う。
 今度こそはみんなの輪に入れますように。
 そんな夜を何度も過ごして、今日も朝、高校でひとり私中庭を歩いている。朝早く登校したら二年二組のゴミ箱がいっぱいでゴミ捨てに来たのだ。そして今、その帰りである。

「ねぇねぇ。今日カラオケ行かない?」
「行くー。じゃあ、あの子も誘わない?」
「誰でも歓迎! 大人数の方が盛り上がるよ!」

 そう言って女の子達はスマホを触って誰かに連絡していた。
 染めたり巻いた髪にほんのり施されたスクールメイク。横を通るだけでふんわり香るいい匂い。

「じゃあ放課後集合―!」

 賑やかな女の子達の会話が耳に痛い。どうせ私は、誘ってくれる友達すらいない。
 もうすぐ夏が終わる。だけどまだちょっと暑い。それはまるで青春の終わりの匂いのよう。そろそろ進路も真剣に考えなきゃいけない時期だ。
 セーラー服を着ていい年齢が終わった頃、私は一体何をしているのだろう。いや、何ができているのだろう? 特に好きなものも将来の夢もない私。考えると胸が苦しくなる。

「あ」

 そんな時だった。モデルのような背の高い茶髪の美少年がおばあさんに手を振って別れた後、しゃがみ込んでたのは。ちょっと躊躇しつつ、困ってるみたいだけど声をかけてみようかな。