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圧倒的な独自性はないものの、作者さんの年齢を加味するととても魅力的な物語でした。 初めは単調な恋愛小説と思いきや様々な伏線が後半にかけて張ってあり、回収するたびに心が躍りました。
ありきたりな場面が多いですが、表現が多様でこの作品独自の世界観が展開されていたのが印象的でした。 作者のあとがきを読んで、自身の失恋や身内の死の経験が反映されている場面を読み直すとまるで自分が体験しているようななんとも表現し難い感覚になりました。特にあとがきの"莫大な負のエネルギー"という抽象的な表現が適切すぎて感動しました。私も似たような経験があるうえ、共感しかできません。 伏線が多く、来夏の死の場面は想像外の展開でびっくりしました。 常陸が来夏との交流を通じてだんだんと卑屈っぽさが抜けていって人として成長していくのが読んでいて楽しかったです