「私生きてて良かったって思う」

「……紫亜」

「生きているから、ののかとこうしていられる。私に生きる意味を与えてくれてありがとね」

そうして、私たちは抱きしめ合う。しかし、砂で足がもつれた。そのまま海の波の中に倒れ込む。ばしゃん。冷たい……!!びっくりして起き上がった瞬間だった。

私たちの唇は触れ合っていた。

「「……?!!」」

突然のことで声が出ない。

……でも、嫌ではなかった。

なんでかなんて分からない。

ただ、海の中、私たちは見つめあっていた。

帰りの電車で夢を見た。

あの日の私たちが、幸せそうにしている夢。

二人は手を繋いで、電車から海を眺めている。

「生きよう」

小指をからめた約束。忘れない。ずっと。

あの言葉を。