私たちは、一緒に住むようになって、お互いの価値観をよく知るようになった。
性格もよく分かるようになった。
私は、人間がちょっと苦手。人と話すのが苦手。あと、空気を読みすぎる。ネガティブ。のくせに褒められたりするとすぐに思い上がる。ねちねちタイプ。
紫亜は、ポジティブなようでネガティブ。自分が悪いと思いがち、自身に対しては悲観的すぎる。優しすぎる。でも芯があるいいこ。
そう。とにかく紫亜はいいこ。喧嘩なんてしたことない。無理してないか心配になる。
でも、いつも、わたしのことを大好きだと言って笑うのだ。

「ねぇ、ののか、ののかはどうして私といるの?」
紫亜が聞いた。

「それはもちろん、紫亜が大好きだからだよ。紫亜の考え方や、行動力はすごいなって思うし、何より優しくて可愛いし」

「えっ告白?!」

「いや違うけど。…紫亜は?」

「私も同じ。ののかが大好きだから。ののかの努力家なとことか、考え方、書く小説、全部大好き。愛してるから」

「愛ですか…」

やはり、紫亜の好きは絶対私のよりはるかに上なのだろう。
でも嫌な気はしない。
むしろ嬉しい。

誰かが自分を愛してくれるから、
私は自分を愛せるのかもしれない。

「着いた〜」

到着したのはあの時の海。やはり、いつ来ても綺麗だ。あれから何回かゴミ拾いの手伝いに来ていたけど、今回は本当に久しぶりに来た。

「はあ〜潮の香りがするね〜」

紫亜はあの時のようにくるくる回っている。

「綺麗だね」

私はつい口をついていた。
何に対してかは言わないけど。

「ののか〜!水遊びしよーよー」

「やだよ、まじでこの時期はやばいよ」

今はまだ3月だ。ぽかぽかしているとはいえ、絶対冷たい。

「えええ、せっかく来たんだししよーよー、ちょっとでいいからあ」

「もーわがまま言わないでよ」

「おや、久しぶりだねぇ」

振り返ると、海の家のおばちゃんだ。

「お久しぶりです」

「久しぶりです〜」

今回もおばちゃんに会えてよかった。

「今日もゴミ拾い手伝ってくれるかい?」

もちろんだ。そのために来たと言っても過言ではない。気合を入れて、ゴミを拾うよ!!
浜辺のゴミを拾いながら、紫亜と話していると

「なんだい、二人、前より距離が近くなったねぇ、やっぱり付き合ってんじゃないのかい」

と言われる。

「ち、ちがいますよ」

焦りで声が裏がえる。

「はっはっはっ。いいじゃないか。末永くお幸せにだねえ」

と言われ、私は何も返せなくなる。すると、

「はい!」

なんて紫亜が言うものだから困ってしまう。もう、本当に……。
絶対に勘違いされたよ。まあ、紫亜は勘違いされてもいいのかもしれないけど…。まあ、私も別にいいけどね。

それから、あのカフェに行って、公園に行って、いい時間になる。

夕焼けの海。あの時は、紫亜にとっては最後だと思いながら見た海だったはずだ。こう何度も見るとは思わなかっただろう。