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『ののかに生きようと言われて、私は考えた。私は何で死にたいんだろう。

家で虐待されるの…当たり前だけど嫌だ。
学校でいじめられるのも嫌だ。

それ全部、今まで私が悪いって思い込んで、何もしないで受け入れてきた。

でもそれって、正しくないよね?

本当は声を上げるべきだ。知ってる。然るべき場所に言うべきだ。

私は幼いから、正しいことが分からなかった。
どうするべきか分からなかった。
だから、私が悪いで落ち着いた。
そうしたら、助けて欲しい感情は消えて、私が消えたらいいってなって。

好きなことも、目標も、持つような心は持ち合わせていなかった。
死んだような日々を送っていた。
毎日同じように、苦しみを受け、私が悪いと思い込む。
私が生まれてきたことが悪いから、天から罰を受けているかのように。
痛い。痛い。痛い。

好きなことを語るクラスメイトが羨ましかった。
私には、何も買い与えて貰えなかったから、何もわからない。
たまに、図書室で本を読んだ。
幸せそうな家庭が描かれていると、苦しくて破りたくなった。
苦しみと痛みで全てが真っ黒に見える。
街中に流れる音楽も不協和音に聞こえる。

煩い。

私のことを全てが蔑んでいるような気がする。
全てが否定しているような。

それでいい。

私が悪いから。
私がいるのが悪いのだから。
ははは。

ー本当は、助けて欲しかった。
ずっと、家族の愛が分からなくて、課題で家族の似顔絵を描く時も言えなくて写真を見て描いた。その写真は、入学式の時の、中学で唯一の家族写真。

それだけが心の支えだった。

私は愛されてると思いたかった。

でも、違うのだ。

私は、親に苦しめられているのだ。
それをちゃんと、本当は理解していた。

愛されていたら、殴られない、怒鳴られない。存在を否定されない。

私は、こうなるべくしてなっているわけじゃない。
私は、救われるべきだ。
命を絶つべきではない。そんなのわかってる。
わかってるんだ。
死ぬのは間違ってるって。

授業でも教わった。自分の命は大切にしましょうって。

人権は守られるべきだって。


……知ってる。
私にだって権利はある。
幸せになれる権利はある。

死ぬことだけが正解じゃない。そんなの