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『私はね、死ぬ事が救いなんだ、他の何も私を救うことは出来ない、そう思う』

紫亜は通話でそう言っていた。
それは私もわからなくもない。
何度も言うが、死ねば大抵のことからは解放される。
もう私らしさとかで悩まなくていいし、親の期待も何も無い。毎朝身なりに気を使わなくていいし、勉強もしなくていい。辛いこと悲しいことは無いし、生きることに苦しまなくていい。
それはとっても幸せなことだ。

ーーそれに勝る好きがあったら、違う?

私には、未練がある。
好きがある。

それを絶望が超えることもある。

でも気付いてしまった。

私にとって、今大事なのは、紫亜といることだ。
私は、紫亜と出会って初めて、本当の絆を知った。
生きるための好きなこと、に紫亜といることが含まれるくらい。
これが、愛おしいって感情なことも分かった。
紫亜にとって今大事なのは死ぬことなのかもしれない。だから、私はそれを変えたいと思ってしまった。
私は紫亜と生きていたい。それが私が出した答えなんだ。