「ん〜、次は、公園!行かない?!」
紫亜が突然目を輝かせた。近くに公園があるらしい。公園も、しばらく行ってない。小学校低学年の頃は近所の公園でよく遊んでたけど……。
「久しぶりにさ!!全力で遊びたい!」
紫亜、体力どうなってるんだ……。私は結構疲れていたけどそれは言わないでおいた。
もう15時が来ていた。カフェから道なりに森の道を入っていくと、そこには広い公園があった。親子が数人いて、子供が遊具で遊んでいる。
「たっちぃー!次、お前おにー!」
なんて言って、小学生くらいの子が私たちの目の前で鬼ごっこをしていた。懐かしい。昔は私もよく鬼ごっこをしていた。多分、あの感じだと紫亜の方が早いけど私は足が早い方だったから、捕まって鬼になることはほとんどなくて。むしろ自分から鬼をやって全滅させたりしてたっけ。
「ブランコ、乗らない?」
紫亜がそう言って向こうを指さす。ブランコが二つ。誰も使っていなかった。
「いいよ」
そう言ってブランコへ行き、座る。そして、漕いでみる。ぐわん、と揺れ、前後ろに動く。
久しぶりの感覚。小学生に戻ったみたいだ。
「ひゃーーっ」
紫亜は漕ぎすぎたのか、めちゃくちゃ高い位置にいた。
「落ちないようにね」
「めっちゃ楽しい!」
ちょっと危険だと思ったけど楽しいならいいか……。そう思った。そしてしばらくすると、遊具で遊んでいた子供たちは砂遊びに夢中になりはじめた。遊具はがらんとしている。
「ちょっと、行ってみない?」
紫亜が言う。あの遊具に……?明らかに子供向けの綱渡りとか、網とかあるやつ。え、恥ずかしくない?でも紫亜はどんどん進んでいく。そして、綱を持って遊具の上に上がると、ぴょんぴょんする。
「わあああ、懐かしい!!昔めっちゃこーゆうので遊んでた!」
そして、丸い布をくぐり抜け、滑り台を滑る。
「ひゃーー」
とても楽しそうだ。私は見ているだけだったが、紫亜が手を引いて、「ののかもやろ!」というものだから仕方ない。私も綱を持って上に上がろうと…するがこれが難しい。結構怖い。
「ののか〜?」
紫亜が呼ぶので私は勇気を振り絞って上に上がる。……きつい。そして、丸い布を通ろうとするが、これも、範囲小さいしめっちゃきつい。頑張って通り抜け、滑り台を滑る。
が、あまりの勢いに驚いていると下でがんっと尻もちを着いた。
「いた……」
「大丈夫?!」
紫亜も滑り台を滑り降りてくる。やっぱ、私らが遊ぶものじゃないんだよ、絶対。めっちゃ痛い……。紫亜は、もっかいだけ!とばたばたと遊具に上がっていく。どんだけ元気なの…。
「ののか〜いくよー!」
びゅーんと滑り台から降りてくる紫亜を見て、子供みたい、と思った。いや、私たちはまだ子供なんだけど。紫亜は無邪気だから。穢れを知っているのに、穢れていない。綺麗な純粋な少女。
「楽しい〜」
この笑顔が守られる世界はないんだろうか。ただ、一人のこの子の表情が、守られる世界は。
しばらくそうしていると、さすがに疲れたのか紫亜はぜえはあ言いながら戻ってきた。
「はあ…はあ…そろそろバスに戻ります!」
「はい」
日は傾いて、少し赤くなってくる。
「はっ、もうこんな時間か!」
気付いてやばいやばいと紫亜は焦り出す。バスの時間ギリギリあるよね?、とスマホを見る。田舎なので、バスがあまり出ていない。逃すと歩きになってしまう。
「あー良かったあったあった」
そして、バスに乗った。二人とも疲れていたからぐったりしていたが、紫亜は少し休むと、スマホを触りわくわくしながら
「最後はどこがいいかな?」
と言う。その最後が、最期、という意味であることを私は分かっていた。ここまで、死ななかった。夜が来て帰らないとどうなるか私たちは知っている。もう、選択肢は限られている。死ぬか、帰るか。
「海、見てからいかない?」
私はそう言った。
「いいよ、夕焼け綺麗だもんね」
窓の外を見ると、赤が全てを覆いつくすようだった。
紫亜が突然目を輝かせた。近くに公園があるらしい。公園も、しばらく行ってない。小学校低学年の頃は近所の公園でよく遊んでたけど……。
「久しぶりにさ!!全力で遊びたい!」
紫亜、体力どうなってるんだ……。私は結構疲れていたけどそれは言わないでおいた。
もう15時が来ていた。カフェから道なりに森の道を入っていくと、そこには広い公園があった。親子が数人いて、子供が遊具で遊んでいる。
「たっちぃー!次、お前おにー!」
なんて言って、小学生くらいの子が私たちの目の前で鬼ごっこをしていた。懐かしい。昔は私もよく鬼ごっこをしていた。多分、あの感じだと紫亜の方が早いけど私は足が早い方だったから、捕まって鬼になることはほとんどなくて。むしろ自分から鬼をやって全滅させたりしてたっけ。
「ブランコ、乗らない?」
紫亜がそう言って向こうを指さす。ブランコが二つ。誰も使っていなかった。
「いいよ」
そう言ってブランコへ行き、座る。そして、漕いでみる。ぐわん、と揺れ、前後ろに動く。
久しぶりの感覚。小学生に戻ったみたいだ。
「ひゃーーっ」
紫亜は漕ぎすぎたのか、めちゃくちゃ高い位置にいた。
「落ちないようにね」
「めっちゃ楽しい!」
ちょっと危険だと思ったけど楽しいならいいか……。そう思った。そしてしばらくすると、遊具で遊んでいた子供たちは砂遊びに夢中になりはじめた。遊具はがらんとしている。
「ちょっと、行ってみない?」
紫亜が言う。あの遊具に……?明らかに子供向けの綱渡りとか、網とかあるやつ。え、恥ずかしくない?でも紫亜はどんどん進んでいく。そして、綱を持って遊具の上に上がると、ぴょんぴょんする。
「わあああ、懐かしい!!昔めっちゃこーゆうので遊んでた!」
そして、丸い布をくぐり抜け、滑り台を滑る。
「ひゃーー」
とても楽しそうだ。私は見ているだけだったが、紫亜が手を引いて、「ののかもやろ!」というものだから仕方ない。私も綱を持って上に上がろうと…するがこれが難しい。結構怖い。
「ののか〜?」
紫亜が呼ぶので私は勇気を振り絞って上に上がる。……きつい。そして、丸い布を通ろうとするが、これも、範囲小さいしめっちゃきつい。頑張って通り抜け、滑り台を滑る。
が、あまりの勢いに驚いていると下でがんっと尻もちを着いた。
「いた……」
「大丈夫?!」
紫亜も滑り台を滑り降りてくる。やっぱ、私らが遊ぶものじゃないんだよ、絶対。めっちゃ痛い……。紫亜は、もっかいだけ!とばたばたと遊具に上がっていく。どんだけ元気なの…。
「ののか〜いくよー!」
びゅーんと滑り台から降りてくる紫亜を見て、子供みたい、と思った。いや、私たちはまだ子供なんだけど。紫亜は無邪気だから。穢れを知っているのに、穢れていない。綺麗な純粋な少女。
「楽しい〜」
この笑顔が守られる世界はないんだろうか。ただ、一人のこの子の表情が、守られる世界は。
しばらくそうしていると、さすがに疲れたのか紫亜はぜえはあ言いながら戻ってきた。
「はあ…はあ…そろそろバスに戻ります!」
「はい」
日は傾いて、少し赤くなってくる。
「はっ、もうこんな時間か!」
気付いてやばいやばいと紫亜は焦り出す。バスの時間ギリギリあるよね?、とスマホを見る。田舎なので、バスがあまり出ていない。逃すと歩きになってしまう。
「あー良かったあったあった」
そして、バスに乗った。二人とも疲れていたからぐったりしていたが、紫亜は少し休むと、スマホを触りわくわくしながら
「最後はどこがいいかな?」
と言う。その最後が、最期、という意味であることを私は分かっていた。ここまで、死ななかった。夜が来て帰らないとどうなるか私たちは知っている。もう、選択肢は限られている。死ぬか、帰るか。
「海、見てからいかない?」
私はそう言った。
「いいよ、夕焼け綺麗だもんね」
窓の外を見ると、赤が全てを覆いつくすようだった。