「ののか〜!」

紫亜がようやく追いついた私を呼ぶ。そして、海水をかけた。

「ひゃっ、何するの?!」

スカートがめちゃくちゃ濡れた。すると

「せっかく海に来たんだし、水遊びしなきゃ損じゃない?」

なんてさらに水をかけてくる。

「着替えないんだよ……?」

そう言ったけど、おかまいなしだ。まあ、最悪着替えは買えばいいか。せっかくだし、確かに遊ばなきゃ損かも…?そう思い、私も紫亜に海水をかける。思いっきり足で飛ばした。

「わあ……!」

まるで、友達同士で遊ぶかのように、私たちはお互いに水をかけあっていた。ざざざざ、波の音が響く。

「おやおや、学校は休みかい?」

水遊びに夢中になっていた私たちは、近づいてきていた袋を持ったおばちゃんに気付かなかった。

「制服のままだとびちょびちょになってしまうよ、おや、この辺の制服じゃないね、どこから来たんだい?」

おばちゃんは私たちを見て言う。私がどう答えようか悩んでいると

「今日はちょっとお休みだったので、遊びに来たんです。海が綺麗って聞いて」

と紫亜が答えた。

「そうかい、そうだろう、ここの海は自慢の海なんだ。でもねぇ客が、ゴミを捨てていくから毎年ゴミ拾いが大変でねぇ、ほらまた落ちてるよ」

とおばちゃんは、袋にゴミを入れる。……そうか。ここがこんなに綺麗なのはこの人たちが綺麗に保つように努力しているからなのか。すごいな。

「私、ゴミ拾い手伝います!」

私は気付くとそう言っていた。優等生の癖かもしれない。けど、やりたいと思った。すると紫亜も、

「私もやりたーい!」

と言う。おばちゃんは驚いた顔をすると、

「ありがとねぇ……。若いのに優しいねぇ。みんなこうならいいのにねぇ。終わったらサイダーあげるよ」

と私たちにトングを渡したのだった。