「私はね、この旅の終わりで死にたいの」

ガタンガタンと列車が揺れる。

「ののかに会って、決心がついた」

ガタン、ガタンと揺れる電車。私は何も言わない。

「ののかはさ、どう?」

私は。
私はー。

「」

×××

揺られて数時間。海の前の駅に着く。潮風の匂いがして、涼しい。ざざ、と波が寄せては返す。

「海だ〜!!」

紫亜が、ばたばたとはしゃいでいる。風でスカートがなびく。くるくると回ったりジャンプして息を吸う紫亜を見ていると、ああ、本当に解放されているんだなあと思う。私も、手を広げて大きく息を吸った。すると、私の前にきた紫亜が

「砂浜まで競走ね!」
「へ?!」

いちに、の、さん!なんて言って、かけだす。全力疾走だ。足が早い。

「待ってよ……!」

私も負けじと走るけど、砂に足をとられて転びそうになる。ローファーで海はきつい。私はローファーと靴下を脱いだ。紫亜はもう波打ち際まで行っていて、波と遊んでいる。いや、波に遊ばれている。今度は紫亜が、足をとられそうになっているのを見て、私はふふ、っと笑った。
それにしても本当に久しぶりの海だ。東京の海は濁っていて汚いイメージがあるけど、ここは違う。濁りのない綺麗な色。遠くまで来たかいがあった。まだ、シーズン前なのもあって、人は少ししかいない。それも釣りや散歩ばかりで、海辺はほぼ、貸切のような感じだ。