友人とのやりとりを終えた後にリリーアがシャワールームから出てきてタオルで体を拭いている、フィオは窓にカーテンが閉まってないことに気付いて急いでバッと閉めた、五階とは言えドローン等が盗撮してきても可笑しくない。
「ありがと、暑さでボケてたかも」
「オルディアに来るまでずっとこんな生活だったのか?」
「そだよ」
「盗撮のことを考えて気を引き締めてほしい」
「いつもはカーテン閉めてるから大丈夫」
「本当……?」
 体を拭き終わって下着姿で制服をハンガーに掛けて、脱いだ靴下や下着はランドリーに持っていくための籠に放り込む。
「フィオ、お風呂は?」
「入る」
「間違って魔法使わないでね、壊したら大変なことになるから」
 フィオはちゃんと制服と下着を分けて脱いでいく、孤児院だと洗濯が纏めてやることもあって洗濯ネットが無いと誰のか分からず騒ぎになってしまう、こっちに来るときも洗濯ネットは必要だと持ってきて正解だ。
「シャンプー使っていいか?」
「良いよー、さっき詰め替えたけど使い過ぎないでね」
「うん」
 ベッドに置いてある夏用のパジャマに着替えてエアコンの風に当たる。
 暑さはもうじき落ち着く頃に入る、お互い地獄だと言っているが冬になれば安心するのは一緒かもしれない、ただこっちでは雪が降ると雪で積もった道が凍って皆ツルツル滑ってコケて怪我人続出とオルディアに比べ良いことはほぼ無い、雪国育ちからすれば滑ると分かるところは歩き方を変える、ただオルディア人は浮いて移動するとあって余っ程のことがなければ地面に足を付けない、雪に対して進化した遺伝子を持っているリリーアはいくら念じても体が浮かないという奇妙なことが起こっていたりもするのだ。
 フィオを見れば分かる、アースガルズ大陸は暑すぎる、何しろ星の赤道直下に世界樹がある上に一番街はヒートアイランド現象で更に暑くなっている、世界樹の周辺が過密的に発展した故に離れた田舎だと夏はあまり暑くはないと差が出ている、TVを点けて明日の天気を見ると休日に雨が降る上に気温も徐々に下がっていくと見て分かる。
「文化祭……何やろっかな……」
 秋になると文化祭が開催される、リリーアが監督官になるのでさらに忙しくなる、ブレンの手を借りる暇はない、ヴィットーリアは出すものによっては家政学科の調理学科チーフ、衛生管理者として見張るとあって動けなくなる。