「んーどうする? さっき、アベルディオが言った通り。修業をして力をつけたほうがいいと思うんだけど」

 リューセイはそう言い四人を見回した。

「そうですね。ですが、力だけつけても。洞窟について詳しく分かっていませんので。もうすこし、情報を集めたほうがいいのでは?」

「イシス。確かにそうだな。だが、闇雲に聞いて歩いても時間がもったいない」

 そう言うとアベルディオは、どうしたらいいのかと考え始める。

「ねぇねぇ。そういえばさぁ。さっき市場を歩いてる時。ギルドの看板があったんだけど」

「ギルド!? ユリエス。その看板には、どんなマークが描かれてた?」

「クライス。ん〜、見たことのないマークだったよ。確か盾の中に、交差した剣とドラゴンが描かれてたけど」

 それを聞いたアベルディオは、もしかしたらと思い問いかけた。

「もしかして、そのマークの下に書かれていた文字って。【冒険者ギルド】じゃないのか!」

「そういえば、言われてみるとそうだった気がする。でも、冒険者ギルドってなに?」

 そうユリエスに聞かれアベルディオは、冒険者ギルドについて説明する。


 なぜユリエスがそう聞いたかと言うと。

 五人が住んでいたダインヘルム国内では、商業系や探索系のギルドが多く、
 冒険者ギルドや傭兵ギルドのような戦闘に特化したギルドが存在しなかったからである。


「そっかぁ。じゃ、洞窟の情報を得るのにさぁ。そこで依頼するのもありだよね?」

 満面の笑みでユリエスは、身を乗り出すとアベルディオに視線を向けた。

「いや、アベルの説明を聞く限り。依頼するんじゃなくて。登録したほうがいいと思うんだが」

「クライス。それって、どういう事?」

 ユリエスは不思議に思いそう問いかける。

「もしかしてだけど。冒険者登録をして依頼をこなしながら、自分たちのレベルを上げつつ、お金を稼ぐって事なのか?」

「リュー。そういう事になる。だが、それだけじゃない。依頼をこなしながら、洞窟の情報を集める」

 四人を順に見るとクライスはそう発言した。

「なるほど。確かに、そのほうが効率がいいかもな。そうなると、いつギルドに行くんだ?」

 リューセイは目を輝かせながらそう問いかける。

「そうだな。俺は、早い方がいいと思うんだが」

「そうですね。クライスの言う通りかもしれません。それに、まだ時間もありますし」

 イシスがそう言うと四人は、問題ないとうなずいた。

 そしてリューセイ達はギルドに行くための準備をすると宿を出て向かったのだった。