イシスはそのころ__
__ここはイシスが望む願望の宝玉により創り出された世界と言いたいが、なぜかイシスだけ現実のある場所に来ていた。
イシスは、どこかの森の中にいる。その森はまるで幻想的な雰囲気を醸し出し、カラフルな花が咲き虫が飛んでいた。
目を覚ますとイシスは、ここがどこなのかと思い辺りを見渡している。
「ここは……。なぜか懐かしい気がします。昔、お母様と来た記憶が」
そう思いキョロキョロしながら、恐る恐る森の奥へと歩き進んだ。
(ここは、どこなのでしょう。ここに来たのは、幼いころだったはず。そのせいなのか、はっきり思い出せません)
さらに奥へ奥へと向かった。すると、目の前にこぢんまりとした家が見え立ちどまる。
(……。見覚えがあります。それなのに、やはり思い出せません)
イシスは気になり、その家に行ってみる事にした。
そして、玄関の前までくると扉をノックする。すると、「はーい。どちら様ぁ?」と返事が聞こえ扉が開いた。
「えっ!? お母様、なぜこんな所にいるんですか?」
「あらぁ、イシスじゃないの。よく、ここにいるって分かったわねぇ」
ニコニコしながらイシスの母親は、ゆっくりな口調でそう答える。
この銀色の髪で白く透きとおる肌のキレイな女性は、フェルシェ・レインロットといいイシスの母親だ。
「いえ、なぜここにいるのか分からないのですが。ここは、いったいどこなんですか?」
「そっかぁ。ここに連れて来た時は、まだ小さかったから覚えていないのねぇ。ここは、ハーフエルフが住む国の森の中よぉ」
そう言われイシスは驚き仰け反る。
「待ってください!? それってどういう事ですか? なぜお母様が、ハーフエルフの国に。確か、病で倒れたおばあ様の看病で里帰りされているはずでは」
「ええ、その通りよ。ここがママの生まれ故郷ですもの」
「へ? それって、もしかしてお母様は、」
と言いかけるがイシスは、フェルシェをよく見るとすこしいつもと違う事に気づき一瞬話が途切れた。
「そういえば、その耳はエルフのもの。という事は、お母様は……」
そう聞かれフェルシェは、ニコリと笑みを浮かべる。
「そう、ハーフエルフよぉ」
「じゃ、それを今まで隠していたんですか?」
「そうねぇ。人間の国にいる時は、魔法で姿を変えてたから。だけどパパは、ママがハーフエルフだって知ってるわよ」
そう言われイシスは、戸惑い混乱し始めた。
「ええと。それでは、この事を知っているのはお父様だけなのですか?」
「いいえ、屋敷だとイシス以外は知ってたはずだけどぉ。確か、国では一部の人かしら?」
「そうなのですね。それを聞き納得しました。私の魔力が、アベルディオよりも……いえ、普通ではあり得ない数値だった理由が」
そう言うと手のひらに視線を向ける。
「あらぁ、そうなのねぇ。そうなるとイシスは、エルフの血が濃いのかもしれないわ」
「そうですね。そうでした。おばあ様の容体は、どうなのですか? せっかくですので、お会いしたいのですが」
そう言い中をのぞこうとした。
『クスッ。いい感じですねぇ。ですが、なぜ現実? 何か特別な力が働いたような。それにハーフエルフとは、』
すこし間をおくとまた話し始める。
『これは、慎重に魔法を使ったほうが良さそうですね。-- さぁ、あなたの望みはあとすこしでかないます。それを手に入れるのですよ』
だがこの時、既にフェルシェは気づいていた。
(これは、なんらかの力を感じます。イシスは気づいていないみたい。そうなると、この力によりここに飛ばされて来たみたいね。
それはそれで嬉しいけど。んー、でもこのままじゃダメな気がするわ)
そう思いフェルシェは、外に出ると扉を閉める。
「おばあ様は大丈夫よ。だいぶ良くなってきてるから。それよりもその装備って、まるで魔道士ねぇ」
「あっ、えっとこれは、」
そう答えるとここまでの経緯を話した。
「なるほどねぇ。クスッ、イシスが家出かぁ。それもお友達と」
「怒らないのですか?」
フェルシェの反応が意外だったためそう問いかける。
「怒るわけないでしょ。男の子なんだから、そのぐらいじゃないとねぇ。そうなるとイシス。お友達のところに戻らなくて大丈夫なのぉ?」
「あっ! そうでした。ですが、どうやってもといた洞窟に戻ればいいか分かりません」
イシスはどうしたらいいか分からず悩み出した。
「そうなのねぇ。それじゃ、ママが手伝ってあげるわ」
そう言いフェルシェは、頭上に両手を掲げる。そして、聞こえるか聞こえないくらいの小声で詠唱し始めた。
(お母様は、何を考えているのでしょう? 先程の行動といい、今の発言にしてもですが。まるで、私以外の誰かを意識しているように思います。
私がこの場所に飛ばされて来たことと、何か関係があるのでしょうか)
イシスはフェルシェのその行動に困惑する。
『まさか!? あの女。気づいたというのですか? これはまずいですね。この世界を撤去したいのですが。ここは現実世界、』
フェルシェの行動に焦りをみせ謎の声は、どう対処したらいいのかと思考を巡らせた。
『止むを得ません。こうなったらあの者をここに残し、撤退したほうが良さそうですね。それだけでも、五人がそろう事はなくなります』
そう言い謎の声は、その場から撤退した。それと同時にフェルシェは、掲げていた両手をイシスに向ける。
すると、フェルシェの目の前に魔法陣が現れた。
「イシス、お別れね。もっとゆっくり話したかったわ。だけどあなたは、ここにいてはいけないのです」
そして、イシス目掛け魔法をはなつ。すると、その魔法のまばゆい光がイシスを覆いつつむ。
「これは、もしかして転移の魔法!」
フェルシェがしようとしている事が分かり納得する。
「イシス。今度は違う方法で、お友達とここにくるのよ」
「はい! 分かりました。お母様もお元気で、」
そう言い互いに、いっぱいの涙を目に浮かべ別れを惜しむ。だが、生きていればまた会えると思い手を振りニコッと笑った。
その後フェルシェは、イシスから聞いた洞窟の場所を言うとパチンと指を鳴らす。と同時に、イシスの姿がその場からパッと消えた。
フェルシェはイシスがその場から消えたあと、謎の声の存在がなくなった事を確認すると疲れた表情へと変わる。
「ああは言ったけど。あの子、大丈夫かしら? 誰に似たんだか。男の子なのに、おっとりしすぎてるのよねぇ」
__誰に似てるって。どう見ても、あの性格はフェルシェだと思いますよ__
「まぁでも。お友達と一緒なら大丈夫かなぁ」
そしてその後フェルシェは、イシスの事を心配しながら家の中へと入っていった。
__ここはイシスが望む願望の宝玉により創り出された世界と言いたいが、なぜかイシスだけ現実のある場所に来ていた。
イシスは、どこかの森の中にいる。その森はまるで幻想的な雰囲気を醸し出し、カラフルな花が咲き虫が飛んでいた。
目を覚ますとイシスは、ここがどこなのかと思い辺りを見渡している。
「ここは……。なぜか懐かしい気がします。昔、お母様と来た記憶が」
そう思いキョロキョロしながら、恐る恐る森の奥へと歩き進んだ。
(ここは、どこなのでしょう。ここに来たのは、幼いころだったはず。そのせいなのか、はっきり思い出せません)
さらに奥へ奥へと向かった。すると、目の前にこぢんまりとした家が見え立ちどまる。
(……。見覚えがあります。それなのに、やはり思い出せません)
イシスは気になり、その家に行ってみる事にした。
そして、玄関の前までくると扉をノックする。すると、「はーい。どちら様ぁ?」と返事が聞こえ扉が開いた。
「えっ!? お母様、なぜこんな所にいるんですか?」
「あらぁ、イシスじゃないの。よく、ここにいるって分かったわねぇ」
ニコニコしながらイシスの母親は、ゆっくりな口調でそう答える。
この銀色の髪で白く透きとおる肌のキレイな女性は、フェルシェ・レインロットといいイシスの母親だ。
「いえ、なぜここにいるのか分からないのですが。ここは、いったいどこなんですか?」
「そっかぁ。ここに連れて来た時は、まだ小さかったから覚えていないのねぇ。ここは、ハーフエルフが住む国の森の中よぉ」
そう言われイシスは驚き仰け反る。
「待ってください!? それってどういう事ですか? なぜお母様が、ハーフエルフの国に。確か、病で倒れたおばあ様の看病で里帰りされているはずでは」
「ええ、その通りよ。ここがママの生まれ故郷ですもの」
「へ? それって、もしかしてお母様は、」
と言いかけるがイシスは、フェルシェをよく見るとすこしいつもと違う事に気づき一瞬話が途切れた。
「そういえば、その耳はエルフのもの。という事は、お母様は……」
そう聞かれフェルシェは、ニコリと笑みを浮かべる。
「そう、ハーフエルフよぉ」
「じゃ、それを今まで隠していたんですか?」
「そうねぇ。人間の国にいる時は、魔法で姿を変えてたから。だけどパパは、ママがハーフエルフだって知ってるわよ」
そう言われイシスは、戸惑い混乱し始めた。
「ええと。それでは、この事を知っているのはお父様だけなのですか?」
「いいえ、屋敷だとイシス以外は知ってたはずだけどぉ。確か、国では一部の人かしら?」
「そうなのですね。それを聞き納得しました。私の魔力が、アベルディオよりも……いえ、普通ではあり得ない数値だった理由が」
そう言うと手のひらに視線を向ける。
「あらぁ、そうなのねぇ。そうなるとイシスは、エルフの血が濃いのかもしれないわ」
「そうですね。そうでした。おばあ様の容体は、どうなのですか? せっかくですので、お会いしたいのですが」
そう言い中をのぞこうとした。
『クスッ。いい感じですねぇ。ですが、なぜ現実? 何か特別な力が働いたような。それにハーフエルフとは、』
すこし間をおくとまた話し始める。
『これは、慎重に魔法を使ったほうが良さそうですね。-- さぁ、あなたの望みはあとすこしでかないます。それを手に入れるのですよ』
だがこの時、既にフェルシェは気づいていた。
(これは、なんらかの力を感じます。イシスは気づいていないみたい。そうなると、この力によりここに飛ばされて来たみたいね。
それはそれで嬉しいけど。んー、でもこのままじゃダメな気がするわ)
そう思いフェルシェは、外に出ると扉を閉める。
「おばあ様は大丈夫よ。だいぶ良くなってきてるから。それよりもその装備って、まるで魔道士ねぇ」
「あっ、えっとこれは、」
そう答えるとここまでの経緯を話した。
「なるほどねぇ。クスッ、イシスが家出かぁ。それもお友達と」
「怒らないのですか?」
フェルシェの反応が意外だったためそう問いかける。
「怒るわけないでしょ。男の子なんだから、そのぐらいじゃないとねぇ。そうなるとイシス。お友達のところに戻らなくて大丈夫なのぉ?」
「あっ! そうでした。ですが、どうやってもといた洞窟に戻ればいいか分かりません」
イシスはどうしたらいいか分からず悩み出した。
「そうなのねぇ。それじゃ、ママが手伝ってあげるわ」
そう言いフェルシェは、頭上に両手を掲げる。そして、聞こえるか聞こえないくらいの小声で詠唱し始めた。
(お母様は、何を考えているのでしょう? 先程の行動といい、今の発言にしてもですが。まるで、私以外の誰かを意識しているように思います。
私がこの場所に飛ばされて来たことと、何か関係があるのでしょうか)
イシスはフェルシェのその行動に困惑する。
『まさか!? あの女。気づいたというのですか? これはまずいですね。この世界を撤去したいのですが。ここは現実世界、』
フェルシェの行動に焦りをみせ謎の声は、どう対処したらいいのかと思考を巡らせた。
『止むを得ません。こうなったらあの者をここに残し、撤退したほうが良さそうですね。それだけでも、五人がそろう事はなくなります』
そう言い謎の声は、その場から撤退した。それと同時にフェルシェは、掲げていた両手をイシスに向ける。
すると、フェルシェの目の前に魔法陣が現れた。
「イシス、お別れね。もっとゆっくり話したかったわ。だけどあなたは、ここにいてはいけないのです」
そして、イシス目掛け魔法をはなつ。すると、その魔法のまばゆい光がイシスを覆いつつむ。
「これは、もしかして転移の魔法!」
フェルシェがしようとしている事が分かり納得する。
「イシス。今度は違う方法で、お友達とここにくるのよ」
「はい! 分かりました。お母様もお元気で、」
そう言い互いに、いっぱいの涙を目に浮かべ別れを惜しむ。だが、生きていればまた会えると思い手を振りニコッと笑った。
その後フェルシェは、イシスから聞いた洞窟の場所を言うとパチンと指を鳴らす。と同時に、イシスの姿がその場からパッと消えた。
フェルシェはイシスがその場から消えたあと、謎の声の存在がなくなった事を確認すると疲れた表情へと変わる。
「ああは言ったけど。あの子、大丈夫かしら? 誰に似たんだか。男の子なのに、おっとりしすぎてるのよねぇ」
__誰に似てるって。どう見ても、あの性格はフェルシェだと思いますよ__
「まぁでも。お友達と一緒なら大丈夫かなぁ」
そしてその後フェルシェは、イシスの事を心配しながら家の中へと入っていった。