ここは、ダインヘルム国からはるか北西に位置するランズベール村。
この村は王都から離れているせいと、一番近いダインヘルム国の者たちがめったに国から出ないためか余りにぎわっていない。
建物などは、自分たちで修理しているのでツギハギだらけである。
だが温泉があるので、長旅をしてきた者にとっては天国だ。そのため、なかなか重い腰をあげられないらしい。
あれからリューセイ達五人は、野宿をしながら三日もかけこの村にたどり着いた。
現在リューセイ達はこの村の宿屋に泊まっている。
アベルディオとユリエスとイシスは、キズと疲れを癒やすために温泉に行っていた。
部屋にはリューセイとクライスが残り、おんぼろのイスに座って今にも壊れそうなテーブルに寄り掛かりながら話をしている。
「なぁ、クライス。ここまで来て、なんだけどさぁ。やっぱり国に戻らないか? まさか、あそこまで魔獣が強いとは思わなかった」
「今さらか? さすがにムリだ。戻れば、どんな処罰を受けるか分からない。そのぐらい、おまえも分かっているはずだろう」
「ああ。俺とクライスだけなら、なんとかなるかもしれない。だがこれ以上あの三人を、危険な目に遭わすのはどうかと思うんだ」
リューセイは国を出てからこの村までのあいだに、何があったのかを思い返していた。
「確かにな。だがあの三人が、それを望むとおもうか? 多分それは否だろうな」
「それは……だけどな」
「リュー。あの本にも書いてあったはずだ。勇者になるためには、どんな苦難も乗りこえなきゃならない。ってな」
__いや今の君たちでは、かなりムリがあると思いますが……。__
「だとしてもなぁ。それに今なら、」
そうリューセイが言いかける。すると扉が開き、慌ててアベルディオが部屋の中に入ってきた。
「ハァハァ。リューセイにクライス。た、大変なんだ」
「落ち着け。何があった?」
クライスは席を立つとアベルディオのほうをむく。
「いったいどうしたんだ? そんなに息を切らせて」
リューセイはどうしたのかと思いアベルディオに問いかける。
「それが、な」
アベルディオが言おうとすると、ユリエスとイシスが部屋の中に入ってきた。
「アベルディオ。待ってください。いくらなんでも、そこまで慌てなくても」
「イシスの言う通りだよ。だけど、僕もビックリしたけどね」
だがリューセイとクライスは、三人の言っている事が分からず首をかしげる。
「三人とも、いったい何があったんだ?」
「リューセイ。聞いてくれよ。温泉を出たあと、泊まり客が話してるのを聞いたんだけどな。この村付近の森の奥に洞穴があって」
とアベルディオが言いかけた。だがそのあと、ユリエスが話に割って入る。
「そうそう、そこにね。なんでも願いをかなえてくれる、【願望の宝玉】があるらしいんだ!」
ワクワクしながらユリエスは、その宝玉がどんな物なのか思い浮かべていた。
「なんでも願いがかなう宝玉か。それが本当なら、今の俺たちに一番必要な物かもな」
クライスはその話を聞くと、がぜんやる気が湧いてくる。
「ちょっと待ってくれ。今の俺たちの力で。そこまでたどり着けると、本当に思っているのか?」
「リューセイ。だけどやってみないと、ダメかどうかは分からないだろう!」
「アベルディオ。言うのは簡単だ。それにこの村にだって、やっとの思いで着いたんだったよな」
席を立つとリューセイは、アベルディオに近づき胸ぐらをつかんだ。
「離してくれないか。確かにこの中で一番弱い。だけどあの時、俺が機転を効かせなかったら。今ごろ、魔獣のエサになってたんじゃないのか!?」
そう言われリューセイはアベルディオを解放する。
「リュー、アベル。ちょっと待て。どっちの意見も正しいと思う。だが、手に入らないとしても。俺も一度でいいから、その宝玉をこの目で見てみたい」
クライスはどうやったらこのメンバーで洞窟に行けるかと考えた。
「クライス。俺も、それが可能ならみたい。だけど……」
「それならさぁ。どうせ急ぎの旅でもないし。作戦を練ってからでもいいんじゃないのかな」
ニコッと笑いユリエスは、身を乗り出し四人に視線を向ける。
「確かに、そのほうがいいですね。それに私たちの役割を決め、ある程度の力をつけてから挑んでもいいのではないのでしょうか」
「ん〜ユリエスとイシスの言う通り。うまくやれば、なんとかなるかもしれない。そうなると、どうするんだ?」
すこし考えたあとリューセイは四人に問いかけた。
「役割か、そうだな。今、俺が持ってる武器は剣だが。どうも軽すぎて使いにくい。んー、なぁいっそこの村で俺たちに合った武器を買わないか?」
クライスは武器や防具が見られると思いウキウキしている。
「それは名案だ。そうなると明日、市場のほうをのぞいてこよう」
市場を見る口実ができ、アベルディオは喜んだ。そして、イシスとユリエスもワクワクしていた。
だがリューセイだけは、本当に大丈夫なのかと思い四人を心配な表情でみる。
そしてその後リューセイ達は、この宿屋の食堂に行き夕食を食べたのだった。
この村は王都から離れているせいと、一番近いダインヘルム国の者たちがめったに国から出ないためか余りにぎわっていない。
建物などは、自分たちで修理しているのでツギハギだらけである。
だが温泉があるので、長旅をしてきた者にとっては天国だ。そのため、なかなか重い腰をあげられないらしい。
あれからリューセイ達五人は、野宿をしながら三日もかけこの村にたどり着いた。
現在リューセイ達はこの村の宿屋に泊まっている。
アベルディオとユリエスとイシスは、キズと疲れを癒やすために温泉に行っていた。
部屋にはリューセイとクライスが残り、おんぼろのイスに座って今にも壊れそうなテーブルに寄り掛かりながら話をしている。
「なぁ、クライス。ここまで来て、なんだけどさぁ。やっぱり国に戻らないか? まさか、あそこまで魔獣が強いとは思わなかった」
「今さらか? さすがにムリだ。戻れば、どんな処罰を受けるか分からない。そのぐらい、おまえも分かっているはずだろう」
「ああ。俺とクライスだけなら、なんとかなるかもしれない。だがこれ以上あの三人を、危険な目に遭わすのはどうかと思うんだ」
リューセイは国を出てからこの村までのあいだに、何があったのかを思い返していた。
「確かにな。だがあの三人が、それを望むとおもうか? 多分それは否だろうな」
「それは……だけどな」
「リュー。あの本にも書いてあったはずだ。勇者になるためには、どんな苦難も乗りこえなきゃならない。ってな」
__いや今の君たちでは、かなりムリがあると思いますが……。__
「だとしてもなぁ。それに今なら、」
そうリューセイが言いかける。すると扉が開き、慌ててアベルディオが部屋の中に入ってきた。
「ハァハァ。リューセイにクライス。た、大変なんだ」
「落ち着け。何があった?」
クライスは席を立つとアベルディオのほうをむく。
「いったいどうしたんだ? そんなに息を切らせて」
リューセイはどうしたのかと思いアベルディオに問いかける。
「それが、な」
アベルディオが言おうとすると、ユリエスとイシスが部屋の中に入ってきた。
「アベルディオ。待ってください。いくらなんでも、そこまで慌てなくても」
「イシスの言う通りだよ。だけど、僕もビックリしたけどね」
だがリューセイとクライスは、三人の言っている事が分からず首をかしげる。
「三人とも、いったい何があったんだ?」
「リューセイ。聞いてくれよ。温泉を出たあと、泊まり客が話してるのを聞いたんだけどな。この村付近の森の奥に洞穴があって」
とアベルディオが言いかけた。だがそのあと、ユリエスが話に割って入る。
「そうそう、そこにね。なんでも願いをかなえてくれる、【願望の宝玉】があるらしいんだ!」
ワクワクしながらユリエスは、その宝玉がどんな物なのか思い浮かべていた。
「なんでも願いがかなう宝玉か。それが本当なら、今の俺たちに一番必要な物かもな」
クライスはその話を聞くと、がぜんやる気が湧いてくる。
「ちょっと待ってくれ。今の俺たちの力で。そこまでたどり着けると、本当に思っているのか?」
「リューセイ。だけどやってみないと、ダメかどうかは分からないだろう!」
「アベルディオ。言うのは簡単だ。それにこの村にだって、やっとの思いで着いたんだったよな」
席を立つとリューセイは、アベルディオに近づき胸ぐらをつかんだ。
「離してくれないか。確かにこの中で一番弱い。だけどあの時、俺が機転を効かせなかったら。今ごろ、魔獣のエサになってたんじゃないのか!?」
そう言われリューセイはアベルディオを解放する。
「リュー、アベル。ちょっと待て。どっちの意見も正しいと思う。だが、手に入らないとしても。俺も一度でいいから、その宝玉をこの目で見てみたい」
クライスはどうやったらこのメンバーで洞窟に行けるかと考えた。
「クライス。俺も、それが可能ならみたい。だけど……」
「それならさぁ。どうせ急ぎの旅でもないし。作戦を練ってからでもいいんじゃないのかな」
ニコッと笑いユリエスは、身を乗り出し四人に視線を向ける。
「確かに、そのほうがいいですね。それに私たちの役割を決め、ある程度の力をつけてから挑んでもいいのではないのでしょうか」
「ん〜ユリエスとイシスの言う通り。うまくやれば、なんとかなるかもしれない。そうなると、どうするんだ?」
すこし考えたあとリューセイは四人に問いかけた。
「役割か、そうだな。今、俺が持ってる武器は剣だが。どうも軽すぎて使いにくい。んー、なぁいっそこの村で俺たちに合った武器を買わないか?」
クライスは武器や防具が見られると思いウキウキしている。
「それは名案だ。そうなると明日、市場のほうをのぞいてこよう」
市場を見る口実ができ、アベルディオは喜んだ。そして、イシスとユリエスもワクワクしていた。
だがリューセイだけは、本当に大丈夫なのかと思い四人を心配な表情でみる。
そしてその後リューセイ達は、この宿屋の食堂に行き夕食を食べたのだった。