あれからリューセイ達五人は、ユリエスを追いかけ洞窟内部へと入った。

 だが洞窟に入るや否やルルカは、謎の影が入口に仕掛けた魔法陣により、森の外の草原へと転移させられる。

 それを見たリューセイ達四人は、何が起きたのかわからなかった。

 四人は心配するも、もしかしたら洞窟のどこかにいるかもしれないと思い先に進むことにする。

 この時イシスは、ルルカを思い「どうか無事でいてください」と願っていた。



 一方ルルカはと言うと、草原に転移させられ困惑している。

 「えっと……。いったい何が、」

 そして何がなんだか分からず、しばらくその場にたたずみボーっと森を眺めていたのだった。



 そのころリューセイ達四人は、ユリエスにやっとの思いで追いつき先へとすすむ。

 その間ユリエスは、四人にこっぴどく叱られる。

 だが「ごめ〜ん」と謝るも、相変わらず反省しているのか分からない表情で、ヘラヘラと笑いながらだ。

 アベルディオは、そんなユリエスに対し怒るもさほど効き目がなかった。それなので、これ以上言っても疲れるし無駄だと思い諦める。

 その後リューセイ達は、洞窟内を迷いながらも、宝箱を見つけアイテムなどを手に入れていった。

 だがその中には、宝箱を真似た魔物やワナなどが含まれている。

 そうこうしながらリューセイ達は、洞窟の最深部近くまできた。

 「今度こそ間違いないんだよな?」

 クライスは、疲れた表情でそう言った。

 「どうだろうな……」

 リューセイもまた、すごく疲れているらしくフラフラである。

 「そうだな。いい加減、ここがそうであってほしいものだが……」

 今にも倒れそうにヨタヨタしながらアベルディオは、リューセイとクライスに追い着きそう言った。

 そのあとからイシスとユリエスが追いかけてくる。

 「本当ですね。それに、もしかしたらここにルルカさんが」

 なぜかイシスは、疲れた様子もなくルルカの心配をしている。

 「イシス。いつもより元気みたいだけど大丈夫なの?」

 そう言うとユリエスは、イシスの顔をのぞいた。

 「ええ、だいじょ……」

 そう言いかけイシスは、バタンと倒れる。


 そうただ単に、実際には疲れていたがムリをしていたため表情に出していなかっただけだ。


 それを見たアベルディオは、急ぎ魔法で回復する。

 イシスの治療が終わるとアベルディオは、みんなと自分の回復をした。

 その後アベルディオとユリエスは、メマの実を食べ魔力を回復する。


 ちなみにメマの実で回復できるのは一日五粒だ。それ以上食べても回復することができない。

 だがそれだけならまだ良い方で、下手をすればお腹を壊すからである。


 そして五人は、洞窟のさらに奥へと向かった。



 場所は移り、ここは願望の宝玉がある洞窟の最深部。

 謎の影は、五人のここまでの勇敢なる様を見て喜んでいた。

 「いいですねぇ。まさか、ここまでの力があるとは思いませんでした。そうですね。では、彼らを歓迎するための準備をしなければ」

 すると、何やら聞きなれない言葉で詠唱を唱え始める。

 「さぁ、どうなるのかしらねぇ」

 そしてその後、謎の影は含み笑いをしその場から姿を消した。