𓇼𓈒𓆉
朝日の眩しさに目を開けると、いつも通りの私の部屋。
なぜか今日は家族の夢なんかを見てしまったから最悪な気分。
ため息をついていつも通り学校の準備をする。
リビングへ行くと、朝ごはんを食べてるお父さんも陽波さん、穂波の姿。
横目で見ながら今日もヨーグルトを食べる。
朝ごはんと夜ご飯に、ヨーグルト以外のものを食べたの、何ヶ月ぐらい前だっけ。
なんでもいいや。スプーンを出して食べ始める。相変わらずなんの味もしない。
白色の砂を噛んでいるよう。
「みな、ちゃんとイスに座って食べなさい」
お父さんの声。
「みなちゃん、それだけだと栄養が……」
お母さんの声。
「おねーちゃん!もうすぐひなみねぇ、おゆうぎかいがあるの!それでね、」
陽波の声。
全部全部、耳障りで仕方ない。
全ての声を無視して、歯磨きをしてから家を出る。
「待ってみなちゃん!今日ぐらいはお弁当……」
なにか陽波さんがいいかけてたけど、それも無視。
学校へ向かう。田舎だからバスに乗って行かないといけない。
見慣れたバス停所へ行くと、案の定友達がいた。
「おはよー!みなちん!」
「おはよう。いちか」
大きく手を振っているのは幼なじみの榎木 一花。
私の家庭の事情をなんとなく察していても、踏み込んでこない唯一の友達。
一緒にバスに乗って学校へ向かう。
雑談をするこの時間が、家にいるより何倍も何倍も楽しい。
「みなちん、また痩せた?ちゃんと食べないとダメだよ?」
「はは、食べてるよー」
ヨーグルトしか食べてないけど。
不健康だって分かってるけど、お腹だってあの家にいて空くはずがない。
「ええーじゃあ体質かなぁ?私、こんなデブだから羨ましい……」
「一花は全然デブじゃないよ」
「みなちんが言っても説得力ない」
「えぇ」
そうこうしているうちに学校へつく。
バスを降りると容赦ない日差しが私たちを照りつけた。
「一花、早く行こう。熱すぎだよ」
「言われずとも」
校門をくぐり抜けて、2人で教室に入る。
教室の真ん中では女子たちがまたなにやら話していて。
今日はなんだか特に熱心。
「ほんとなんだってー!」
「えー、めっちゃショックー!」
フレンドリーな一花が「なにがなにがー?」って覗き見しにいく。私もそれについていくと、女の子たちは半泣きしていた。
「あのねぇ、JACKのRENくんの意識不明だってぇ!」
「えー!?嘘でしょ嘘でしょ!?」
大袈裟に泣き真似をするいちか。
JACKって……、
「ねえ、ジャックってなに?」
「え、嘘でしょ海那。しらないの!?今超キてるアイドルグループじゃん!」
「知らない」
「もう!世間にうとすぎ!」
わたしはあんまり人に興味がないからアイドルも見ない。
意識不明って、死ぬかもしれないってことだ。
私は薄情な人間だから知らない人に対して感情移入できないけど。
「ほらこの人だよ!イケメンでしょ!」
「……え、」
言葉を失った。
いちかのスマホ画面に映っていたのは、
━━━━━━━間違いなく、昨日海にいたあの人だったから。
とくん、と心臓が脈打った。
どうして、なんでこの人が''意識不明''って書かれた記事の写真に乗ってるの。
昨日は普通に海辺にいたのに。
朝日の眩しさに目を開けると、いつも通りの私の部屋。
なぜか今日は家族の夢なんかを見てしまったから最悪な気分。
ため息をついていつも通り学校の準備をする。
リビングへ行くと、朝ごはんを食べてるお父さんも陽波さん、穂波の姿。
横目で見ながら今日もヨーグルトを食べる。
朝ごはんと夜ご飯に、ヨーグルト以外のものを食べたの、何ヶ月ぐらい前だっけ。
なんでもいいや。スプーンを出して食べ始める。相変わらずなんの味もしない。
白色の砂を噛んでいるよう。
「みな、ちゃんとイスに座って食べなさい」
お父さんの声。
「みなちゃん、それだけだと栄養が……」
お母さんの声。
「おねーちゃん!もうすぐひなみねぇ、おゆうぎかいがあるの!それでね、」
陽波の声。
全部全部、耳障りで仕方ない。
全ての声を無視して、歯磨きをしてから家を出る。
「待ってみなちゃん!今日ぐらいはお弁当……」
なにか陽波さんがいいかけてたけど、それも無視。
学校へ向かう。田舎だからバスに乗って行かないといけない。
見慣れたバス停所へ行くと、案の定友達がいた。
「おはよー!みなちん!」
「おはよう。いちか」
大きく手を振っているのは幼なじみの榎木 一花。
私の家庭の事情をなんとなく察していても、踏み込んでこない唯一の友達。
一緒にバスに乗って学校へ向かう。
雑談をするこの時間が、家にいるより何倍も何倍も楽しい。
「みなちん、また痩せた?ちゃんと食べないとダメだよ?」
「はは、食べてるよー」
ヨーグルトしか食べてないけど。
不健康だって分かってるけど、お腹だってあの家にいて空くはずがない。
「ええーじゃあ体質かなぁ?私、こんなデブだから羨ましい……」
「一花は全然デブじゃないよ」
「みなちんが言っても説得力ない」
「えぇ」
そうこうしているうちに学校へつく。
バスを降りると容赦ない日差しが私たちを照りつけた。
「一花、早く行こう。熱すぎだよ」
「言われずとも」
校門をくぐり抜けて、2人で教室に入る。
教室の真ん中では女子たちがまたなにやら話していて。
今日はなんだか特に熱心。
「ほんとなんだってー!」
「えー、めっちゃショックー!」
フレンドリーな一花が「なにがなにがー?」って覗き見しにいく。私もそれについていくと、女の子たちは半泣きしていた。
「あのねぇ、JACKのRENくんの意識不明だってぇ!」
「えー!?嘘でしょ嘘でしょ!?」
大袈裟に泣き真似をするいちか。
JACKって……、
「ねえ、ジャックってなに?」
「え、嘘でしょ海那。しらないの!?今超キてるアイドルグループじゃん!」
「知らない」
「もう!世間にうとすぎ!」
わたしはあんまり人に興味がないからアイドルも見ない。
意識不明って、死ぬかもしれないってことだ。
私は薄情な人間だから知らない人に対して感情移入できないけど。
「ほらこの人だよ!イケメンでしょ!」
「……え、」
言葉を失った。
いちかのスマホ画面に映っていたのは、
━━━━━━━間違いなく、昨日海にいたあの人だったから。
とくん、と心臓が脈打った。
どうして、なんでこの人が''意識不明''って書かれた記事の写真に乗ってるの。
昨日は普通に海辺にいたのに。