先ほど『琴理ちゃんのその話は今別問題だから』と言われてしまったのでそれ以上訊けなかったが、これは一度淋里にその意味を確かめてもいいかもしれない。
淋里は『気が向いたから』とか『暇つぶし』とか、気分で動くことが多い人のようだ。
その際に心護に同席してもらうかは、また悩んでしまうところだが……。
「花園殿、まだ、琴理の相手に淋里兄さんを望みますか?」
ここまでの怒涛の展開に疲れたのか、心護の声には少し疲れが見えた。
「……いえ。琴理を心護様に認めていただいたことで、バカな調子に乗ってしまっていたようです。今日の琴理を見て、心護様以外のもとに琴理の幸せはないと感じました」
「そーだよ。琴理ちゃんみたいな強い子じゃないと心護の傍にいらんないよ?」
(……へ?)
「淋里様? わたし、全然強くないのですが……」
護身術は習い始めたばかしだし、退鬼の力もないし……。
「物理的な強さじゃないよ。そのうちわかると思うし」
「淋里兄さん、愛理嬢の提案についてはどう考えますか?」
「んー、そうだねー、確かに僕の意思で僕が心護の下につけば、心護一強に出来るかな。考えんの面倒だし、そうしよっかな」
へらっと笑う淋里。
今日、淋里の考えを知った琴理だが、結局淋里のことはよくわからないままだ。
(あ)
そこで琴理は思い至った。
自分の影にいる存在に。
(クマのことどう説明するか考えていませんでした―――――!)
両親や愛理には気づかれる可能性がある。
特に愛理は聡い子だ、いくらクマの気配が消えていても――
(……あれ? 今、わたしの影にクマの気配が、ない……?)



