(主彦さんも芳しい反応はないようですし、涙子さん、片思いの相手としては超難関なのでは……)
琴理が考えているそばで、愛理が片手をあげた。
「宮旭日淋里様は、当主争いのレースを降り宮旭日心護様を次代にと思っておいでですの?」
愛理の確認の言葉に、淋里は眉根を寄せた。
「そうだけど……なんでフルネーム?」
背筋を伸ばした愛理はきりっとした顔で答える。
「わたくし生粋のシスコンでございますので、姉様の旦那様候補には厳しくいかせていただく所存ですわ」
「そ、そう……」
愛理のあまりにも堂々とした宣言に、淋里は戸惑ったようだ。
淋里を旦那様候補にされるのは琴理としては複雑極まりないけれど、(心護様の脅威であった淋里様にこんな顔をさせるなんて……さすが愛理!)と、心の中で愛理を祭り上げていた。
「話を戻しますが、ならば宮旭日淋里様が完全に、宮旭日心護様の下についてはいかがですか? 簡単に言えば、宮旭日淋里様の行動は完全に宮旭日心護様及びそのお邸の管理下に置かれるとか」
愛理の提案に淋里は不満顔になる。
「えー、窮屈」
「それで不本意なレースから外れることが出来るのならよいのでは?」
「う~ん、まあそうとも言えなくもないんだけど……。でもさあ花園。僕言ったよね? 誰にも言うなって」
「そ――れは……」
父と母の顔が再び険しくなった。
(誰にも言うな?)
琴理は聞き覚えのある言葉に、淋里を見た。
両親の硬直するという反応を見て淋里は、はたはたと手を振った。
「まあ、僕が目立ちたくないがために言ったテキトーな脅しだから、別に誰も傷つけたりしないよ」
(え?)
「琴理ちゃん傷つけたら心護に殺されそうだし、愛理ちゃん傷つけたら琴理ちゃんに殺されそうだしさー」
そんなめんどーなこと僕がするわけないじゃんー。と淋里はまとめた。
(目立ちたくないための適当な脅し……? 内容が、わたしが言われたものと似ていますよね……?)



