「杏奈ーこっちこっち!」



お昼ご飯を食べる約束をしていた双葉が、待ち合わせ場所の駅前の大きな時計の下でおーいと手を振ってきた。



「ごめん、遅れちゃって」


「全然大丈夫、それより大学卒業おめでとう」


「双葉もおめでとう」



私は看護師になるため四年制の大学、双葉は小学校の教師になるため同じく四年制の大学に進み、先週卒業した。


双葉は大学の同じ学部で出会った、かれこれ三年目になる彼とついこの間結婚式を挙げおなかには第一子もいる。ちなみに男の子。



「あ、天野くん。そういえば最近彼女できたんだってよー」


「え、そうなの?」



同じく小学校の教師を目指している天野くんは、双葉と同じ大学に進み何回か三人でご飯に行ったりもした。