「…京平」



ベットの上に腰掛け、ぼーと窓の外を眺めていた京平がゆっくりと振り向いた。


その虚な目が、どんどん大きく見開かれていき、「あん、な?」と掠れた声が耳に届く。



「…どうしてここにいるの?」


「玲奈さんから、全部教えてもらったの。京平の病気のことも、全部」



京平のそばに歩いていくと、京平は恐る恐るまるで本物か確かめるように手を握ってきた。


少しカサカサしている懐かしい大きな手に、指を絡めてぎゅっと握る。もう、離さないように。



「あのね、まず最初に言わせて」


「え?」


「ばーーーーーか!」



耳元で大きな声で叫ぶと、京平は驚いたように目を丸くした。