じゃないと杏奈と会えなくなる。そばにいられなくなる。



「京平くん、それはそういう病気だからだよ。普通に過ごせているけど、京平くんの心臓はどんどん弱ってきている。だからこそ突然止まることだってあるんだ。そうならないためにも、外にいるより病院にいる方が…」


「嫌だ!なんで俺の残り少ない人生を、他人に決められなきゃいけないんだ!もうすぐ死ぬくらいなら、最後まで好きな人の隣にいさせてよ…」


「京平!」



ハッと顔を上げると、母さんが鋭く俺を睨んでいた。その瞳には涙がにじんでいる。



「お願いだから、先生の言うことを聞いて…。私たちは京平と少しでも長く一緒にいたいの…」



そこでやっと俺はどんなに自分が自分勝手だったのかわかった。


辛い思いをしているのは、親だって同じだ。そしてこの思いを、他の誰でもない杏奈にさせようと俺はしていたんだ。



「…わかった」



杏奈にはずっと笑っていて欲しい。幸せでいて欲しい。