どうせもうすぐ死んでしまうんだから、恋なんてしなくていいと思っていたのに。


それなのに俺はどうしようもなく杏奈がほしくて、隣にいたいと思ってしまった。



「杏奈に俺の人生全部捧げる」



本気でそう思ったよ。俺の残りの人生は全部杏奈に捧げたい。


俺が死んでしまうその日までずっと…。



「ちょっと、玲奈。おまえなんで学校まで来てんの」



杏奈から少し離れた場所に中学の同級生で俺の担当医の風間先生の娘でもある玲奈を引っ張る。


杏奈がものすごい顔でこちらを睨みつけているけど、まだ病気のことは言えていないからバレるわけにはいかない。



「なんでって、京平の彼女がどんな子か見に来たの。気になって」


「いるって教えたのが間違いだったよ…」


「ねえ、まだあの子に病気のこと話してないの?それってちょっとひどくない?」