貯めていたお金をゲーセンやたくさんの女の子のために使い、遊びまくった。


まともな恋愛をしてたった一人の女の子を好きになることも、生きることさえ諦めていた時に出会ったのが君だった。



「…昨日はありがとう」



最初何に対してのお礼なのかさっぱりわからず、きょとんと首を傾げる。



「え、昨日?…あ、放課後のことか。そんな、わざわざいいのに」



たまたま近くを歩いていたから庇っただけで、そんな改まってお礼を言われるようなことはしていないのに。


それなのに、きっとお礼を言うことが苦手な杏奈がわざわざ言いに来てくれたことが嬉しくて、もう少し話してみたいと興味が湧いた。



「へぇ、そうなんだ。どんな子なの?」


「…髪の毛はお団子にしてて、美人で、サバサバしてて裏表のない人。あと…こんな私でもずっとそばにいてくれるような優しい人」



素直に自分の気持ちを伝えるのが苦手なくせに、友達のいいところは饒舌になって話す杏奈に「ああこの子いいな」と素で思った。


君の笑顔を初めて見た時から、きっと俺はもう恋に落ちていたんだ。