始まりは、高一の四月だった。


体育の後や運動した後のひどい疲労感や息切れに、少しずつ違和感を感じるようになったのは。



そして家で倒れたのが五月の中旬頃。


ただの貧血とかそういう軽いものだと思っていたのに、聞かされたのは心臓に悪性腫瘍があることだった。


よくわからない病名や説明に、俺はただ呆然と座っていることしかできなかった。



「本当なのか…?京平が、あと二年で死んでしまうなんて…」


「私も何がなんなのかもうわからないわよ…っ。どうして、どうしてあの子が急にそんなこと…っ」



両親の泣き声が聞こえるリビングに、「大丈夫だよ」と笑って入っていく勇気なんてなかった。



今まで元気に暮らしてきたのに、突然病気だと聞かされ、しかも治す方法もない余命二年の重病だなんてそんなのただの夢に決まってる。


だけどその悪い夢は覚めることなく、俺が死ぬ日までの時間はゆっくりと確実に進んでいった。


やっとこれが現実だとわかり、もう全てがどうでもよくなった。