「…そう。杏奈にいつの間に彼氏なんてできてたの。お母さん何も知らなかった」
「もう、別れちゃったけどね…」
「…んー京平くんがどうして嘘をついてまで別れようとしたのか、そもそも本当に嘘だったのか、杏奈が悩んでること全部お母さんもわからないかな。だって杏奈も私も、京平くんじゃないもん。わかるわけないよ。だからさ…」
お母さんが身を乗り出して、私の頰を優しく包み込んできた。
「京平くんに直接聞きに行けばいいんだよ。少なくとも玲奈ちゃんって子なら何か知ってるのかもしれないし。わからないなら、わからないって素直に言っていいの」
「素直に…」
「そう。お母さんもお父さんとお互い素直に気持ちを伝えるのが苦手で別れちゃったから。でもずっと後悔してた。あの時ちゃんとお互い思ってることを話し合えていればよかったな、って。だから杏奈もそんな風に後悔しないように、好きな人とちゃんと向き合いなさい」
温かい母親の温もりを感じながら、その手に自分の手を重ねて頷く。
…そうだ。私、まだ何一つ素直に伝えられていない。
本当に京平に伝えたかったことは、「大嫌い」なんて言葉じゃないのに。
「もう、別れちゃったけどね…」
「…んー京平くんがどうして嘘をついてまで別れようとしたのか、そもそも本当に嘘だったのか、杏奈が悩んでること全部お母さんもわからないかな。だって杏奈も私も、京平くんじゃないもん。わかるわけないよ。だからさ…」
お母さんが身を乗り出して、私の頰を優しく包み込んできた。
「京平くんに直接聞きに行けばいいんだよ。少なくとも玲奈ちゃんって子なら何か知ってるのかもしれないし。わからないなら、わからないって素直に言っていいの」
「素直に…」
「そう。お母さんもお父さんとお互い素直に気持ちを伝えるのが苦手で別れちゃったから。でもずっと後悔してた。あの時ちゃんとお互い思ってることを話し合えていればよかったな、って。だから杏奈もそんな風に後悔しないように、好きな人とちゃんと向き合いなさい」
温かい母親の温もりを感じながら、その手に自分の手を重ねて頷く。
…そうだ。私、まだ何一つ素直に伝えられていない。
本当に京平に伝えたかったことは、「大嫌い」なんて言葉じゃないのに。