–––「俺の好きな人も、これからずっと好きなのも全部杏奈だけだよ。杏奈に俺の人生全部捧げる」


–––「俺はどこにいたって絶対に杏奈のところに飛んでいくから」



そう言ってくれたのに。すっごく嬉しかったのに。



「…嘘つき。最低…」


「…ごめん。だけど俺は…もう、杏奈のことなんて好きじゃない」



気づいたら、京平の頰を叩いていた。



「…だいっきらい!もう二度とあんたの顔なんて見たくない!」



京平に背を向けて走り去る。


拭っても拭っても涙は止まってくれなくて、胸が痛くて、京平を叩いた手のひらがしびれるように熱かった。



京平に嘘つきと言ったけど、私だって嘘をついてしまった。


大嫌い。


…そんなわけないのに。京平のこと大好きだから、だからこんなにも苦しいんだよ。



「う…っ、うわああああ…っ」



静かな住宅街に、寂しい泣き声がいつまでも響いていた。