今にも殴りに行こうと拳を握りしめて立ち上がった双葉を、慌てて抑える。



「ちゃんと私が直接聞くから」


「でも…」


「大丈夫」



双葉はこくんと頷き、素直に座り直した。


大丈夫。きっと何かの間違いだ。京平が浮気なんてそんなこと、するはずがないよね…。





家に帰ってから京平に何度も電話をかけようとするが、手が言っては来たりを繰り返しなかなかボタンが押せない。


「よし、押そう」とやっと決意してスマホと向き合ったところで、「ただいまー」と下から声が聞こえてきた。



「…え、お母さん?」



リビングに下りていくと、買い物袋を掲げたお母さんが珍しく早く帰ってきていた。