「お、おじゃまします…」



借りてきた猫みたいに大人しい京平にふっと笑いながら、リビングに連れて行く。



「待って、今何か飲み物とか出すから…」



ふと机の上に置かれていたお金とメモに気づき、慌てて隠す。


だけどもう遅かった。


“好きなもの食べて”というメモと千円札を、きっと京平は見てしまっただろう。



「ほら、お母さん仕事で遅いし、基本的にいつもご飯とか一人なんだよね。放置ってわけじゃないけど、自由っていうか。まあ別に困ってないから全然いいんだけどさ」



聞かれてもいないことを早口にまくしたて、二人分のお茶を乗せたおぼんを持って足早にリビングを出る。



「あ、あくまで今日は勉強会、だから変なことはしないでよね」


「変なことって、さすがに勉強会でやらしいことはしないよ。…多分」



「絶対だよ」と睨みつけながらも、いつも通りの京平にほっとする。