「何も知らないなんて、かわいそうな人」


「…え?」



ハッと振り向くけど、玲奈さんはこちらを振り向きもせずにスタスタと歩いて行ってしまった。



「杏奈?」


「あ、ううん、なんでもない…」


「どこで勉強しよっか、ファミレスとか?」


「ああ、それなら家来ない?」



へ?と間抜けな返事をして立ち止まった京平に首を傾げると、ハッとしたように慌てて駆け寄ってきた。



「行く行く!杏奈の家、行きたいー!」


「わかったって」



嬉しそうに鼻歌なんかを歌いながら隣を歩く京平に、何気ない口調を心がけながら「そういえばさ」と切り出す。