もう嫌だった。


他の女子とハチマキを交換する京平も、いつまで経っても気持ちを素直に伝えられない自分も、全部嫌だった。



「杏奈?大丈夫?」


「…え?」



クラス席の端っこで体育座りをしてぼーとしていると、心配そうな顔をした麻由が顔を覗き込んできた。



「どうかしたの?」


「あ、ううん、なんでもない。ちょっと疲れただけ」


「二人とも、琴葉の番来たよー!」



いつの間にか種目は借り人競争まで進んでいて、立って見ていた彩がこっちこっちと手招きをしてきた。



「おお、琴葉頑張ってる。探してる探してる。あ、体育の塚田連れてった」


「お題なんだろ、筋肉ある人とか?」