グラウンドではちょうどサッカー部や野球部などが練習を始めているところだった。



「あ、そうだ」



この後会う約束をしている他校の友達に連絡をするため、立ち止まってスマホをポケットから取り出す。



「あ、危ないー!」



突然大声で叫ばれて何事かと顔を上げると、サッカーボールが私めがけて飛んできていた。



–––––バシッ!



ぶつかるような弾くようなそんな音がして、恐る恐る目を開けると目の前に誰かの背中が見えた。


咄嗟に顔を守った腕を下ろして、その人を横から覗く。



「あ…桐谷?」



私を庇ってくれたのは、桐谷だった。