「もう、離してよ!」



ぎゅーと抱きしめてくる京平の腕の中で、じたばたと必死に抵抗する。


今日が体育祭だからか京平の髪型は七三分けにキマっていて、いつもの茶髪センター分けよりもかっこよく見えた。



「ねえねえ俺より用具が大事って本当?ねえねえ」



しつこくさっきの話を根に持っている京平に「知らない!」とキレながらなんとか腕の中から脱出する。



「俺拗ねちゃうよいいの?」


「勝手に拗ねとけばいいでしょ!めんどくさいな!」



ジリジリと近づいてくる京平に後退りながら距離を取る。


がばっと抱きついてきた京平をひょいっと交わすけど、すぐにまた抱きつかれそのまま一緒に倒れ込む。



「もう!何すんの…」



私の上に覆い被さっている京平のピアスに陽の光が当たり、きらっと光った。