「用具と俺、どっちが大事なの!」


「用具」



即答すると京平がぶはっと吹き出し、楽しそうに笑った。


待ち合わせをしていた体育倉庫裏に向かうに連れて、グラウンドから離れているからか人気が少なくなってきた。



「…あれ?京平、まだついてないの?」



誰もいない体育倉庫裏に着き、電話の向こうの京平に尋ねるけど返事がない。



「京平?」


「だーれだ」



ふと視界が暗くなり、耳元と後ろから京平の声が聞こえた。



「…何してんの」


「杏奈の髪型かっわいー。さっきは照れて俺の声援無視しちゃって、本当に可愛いんだから」