「あ、雪平ちょうどいいところに。先生のおつかい頼まれてくれない?」



放課後、廊下を歩いていると、向こう側からかごを持った体育教師の塚田(つかだ)先生が私に爽やかな笑顔を向けて歩いてきた。


体育の授業でペアを作って何かをする時、必ず余ることから先生と組むことが多く、それなりに話す関係だった。



「…なんですか。私、これから用事があるんですけど…」


「まあまあ、体育でよくペア組む仲だろ?先生これから職員会議があるから急いでて、このかごグラウンドの先にある体育倉庫に戻してきてくれないか?中身ゼッケンだからそんなに重くないし」



「だから私も用事が…」と言い終わる前にゼッケンの入ったかごを押し付けられ、先生は「じゃ、頼んだ!」と残して逃げるように行ってしまった。



「嘘でしょ…」



あの先生は少し人の話を聞かないところがある。めんどくさい…。




はあとため息をつき、仕方なくグラウンド先の体育倉庫に向かう。