「杏奈ちゃんが空き教室に攫われたって聞いたんだよ。おまえら、何してんだよ!」



大声を出して怒る桐谷に、さっきまでの威勢がどこにいったのか女子達が怯えたように身を縮こまらせていた。


桐谷が感情を露わにしているところを見るのはこれで二回目だ。



「だ、だって京平、この子に何か弱みでも握られてるんじゃないの?いきなり付き合い悪くなったじゃん」


「そ、そうだよ、京平が困ってると思って私たち…」


「そんなこと思ってもないし頼んでないだろ!もう二度と杏奈ちゃんに手出すな。次やったら…わかるよね?」



女子達が涙目になりながら空き教室を出ていった。



「杏奈ちゃん、大丈夫?ごめん俺のせいで…」


「本当、あんたってバカ」



スカートについた汚れを落としながらすっと立ち上がる。



「こんなのどうってことないし…」